TOPICS
- この研究グループは、大学学部では「生物機能化学科 応用菌学」ですが、大学院からは下記寄附講座にて研究を行います。(実験ゼミ等は一緒に行っています)
- 財団法人発酵研究所寄附講座 微生物新機能開発学 が開講されました。(2009.10.1)
- 第15回日本微生物資源学会 優秀発表賞を受賞しました。(2008.7.2)
微生物資源学会第15回大会
Excellent Oral Presentation Award 受賞
加藤知子、片山泰樹、田中みち子、冨田房男、浅野行蔵
永久凍土層氷楔微生物の分離とその応用
細菌、カビを含む微生物は様々な環境に適応して棲んでいることが分かっています。近年では、南極の海氷や、氷河、永久凍土など、凍った環境に存在する微生物叢の解析や単離が進められています。地球上の陸地を占める永久凍土層の割合は14%と言われ、楔の形をした氷楔(ひょうせつ)や氷塊といった氷の地形が広く一般的に存在しています。氷楔形成時に取り込まれた雪、土、その他の微粒子は、解けずに保存されていると考えられ、こうした氷に微生物が生きて存在するのであろうか?という疑問からこの研究がスタートしました。年代測定された氷楔から寒天培地上にコロニーを形成できる細菌の単離とクローン解析を行いました。さらにこれらの微生物機能の応用に向け、様々な手法で氷楔内微生物の生存状態を明らかにしようとしています。
約3万年前から1万年前に形成されたアラスカの氷楔は、形成されて以来外部からの干渉がなかったことが証明され、一種のタイムカプセルであることがわかりました。この古い氷に閉じ込められた微生物を分離して、系統的な解析と生理学的試験を行った結果、氷点下に適応して長く生き続けた微生物叢が明らかとなりました。この微生物叢はクローン解析の結果や他の凍った環境のものとは異なる興味深いものでした。単離株の中から好気性、無芽胞、グラム陽性で―5℃での発育が可能な新規細菌を選び、それらを新属新種として提案しました。また、様々な集積培養や新たな手法を工夫し、氷中に何万年あるいは何百万年と生き続けた種々の特徴を持つ新規微生物の単離と生育状態の解明を目指しています。