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北海道大学 大学院農学研究院 応用生命科学部門 

〒060-8589 札幌市北区北9条西9丁目

研究内容Works

概要

 「食品の健康に対する機能を理解する」ことを目的に、食品に含まれる「機能性成分」、機能性成分が相互作用する体の中の「標的」と「作用経路」を研究ターゲットとして、『食品の機能を分子レベルで明らかにする』ことを目指しています。
 食品中の「機能性成分」は、栄養成分であることもあれば、それとは異なるユニークな化合物であることもあります。そうした多様な分子の解析には、化学の手法が必要です。食品成分が相互作用する「標的」や「作用経路」の解析には、食品成分を扱うための化学の手法に加えて、生体内の分子を解析するための分子生物学や遺伝子工学など様々な手法が必要です。そのため生物活性成分グループでは、化学、分子生物学、遺伝子工学など多様な方法を駆使して研究を行っています。 

『味覚成分の新たな機能』の探索

「体内の苦味受容体の機能解析」

 食べ物の味は口の中の味覚受容体で感知されますが、味覚受容体は実は口の中以外の組織にもあります。「苦味受容体」は味覚受容体の中でも数が非常に多く、その機能はまだまだ分かっていません。このテーマでは、脂肪組織や肝臓といった体の中にある臓器には苦味受容体が存在するのか?存在するとしてどのような機能を担っているのか?を明らかにすることを目指しています。
 体の中で苦味受容体が機能していたら、食べ物の苦味が新たな食品の機能成分候補になります。ヒトの体の生体分子の研究から、新しい機能性成分の探索へとつなげていこうという研究テーマです。
 糖分たっぷりの甘いものや脂肪分たっぷりの食べ物は、糖尿病や肥満の原因となる美味しいけれど健康には気になる食べ物ですが、逆に苦い食べ物は美味しくないけど健康には良いなど分かったら面白いと思いませんか?

食品中の『新しい機能性成分探索』

「現代社会の健康問題を予防する機能性成分」

 現代社会には様々な健康問題があります。病気であれば薬で治療することができますが、例えば年をとって体が弱くなる「高齢化」や食べすぎて体重が増える「肥満」などは病気ではなく体にとっては自然な現象で、薬で一息に治すのは難しかったりします。食事は毎日摂るものなので、こうした自然な現象に対しても少しずつ少しずつ効果を及ぼすことができます。また病気になる前の予防にも適しています。「新しい機能性成分探索」では、薬では対処しづらい健康問題や、病気の予防を目的に様々な食用素材からの機能性成分の探索を行っています。

老化による体の機能の低下を予防する成分

 老化は体の様々な機能を低下させていき、生活の質(QOL)も低下させます。このテーマでは、老化によって生じる様々な問題をターゲットとして、食品でそうした問題が予防できないか、どのような機能性成分なら効果が期待できるか探索しています。現在は運動機能や血管機能に注目して研究を行っています。

糖尿病の予防成分(糖質消化酵素の阻害剤)

 糖尿病の予防には血糖値の抑制が重要です。血糖値は、食事に含まれる糖質を糖質消化酵素であるα−グルコシダーゼやα-アミラーゼが消化して、消化管から吸収されることで上昇します。逆に言えば、糖質は消化されなければ吸収されないため、α-グルコシダーゼやα−アミラーゼを阻害すれば糖質の吸収が遅延されて血糖値の上昇を抑えることができるということです。こうした成分は広く研究されていますが、α−アミラーゼは構造の複雑な高分子により阻害されることが多いため、その解析も不十分な点があります。特に重合ポリフェノールの分子構造を解析してα−アミラーゼがどのように阻害されているのか調べる基礎研究を行っています。

肥満を予防する成分(リパーゼ阻害成分)

 体内に吸収される脂質を減らすことで肥満を予防することが期待出来ます。脂質の消化酵素であるリパーゼを阻害する化合物は広く研究されていて、抗肥満薬としても開発されています。リパーゼは身近な食品でも阻害する成分を含んでいる例が多いため、その探索や機能解析を行っています。


機能性成分の『作用機構解析』と『標的同定』

「機能性成分のシグナル経路と標的タンパク質同定」

 機能性成分の探索について上記に記載しましたが、見つかった成分が何故そのような機能性を示すかについては、そのままではわかりません。新しい機能性成分が見つかったときに、その構造と機能の関係を解析したり、どのような細胞内シグナルにより機能を示すのか解析したり、機能性成分が直接作用する生体内の標的となるタンパク質を解析したり、など分子レベルでの解析を行っています。


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札幌市北区北9条西9丁目
北海道大学大学院農学研究院
食品機能化学研究室