酵素機能について

パブリックデータベース Carbohydrate Active Enzyme (CAZy)(www.cazy.org)には、3819種の生物が保有する462,000個以上の糖鎖分解、糖鎖修飾、糖鎖合成などに関与すると予測される遺伝子配列が公開されています(2015年2月)。これら配列情報は近年の次世代シーケンサーによる(メタ)ゲノム・トランスクリプトーム配列解読 の進展に応じて増加しており、さらに今後より大規模なものになる事が容易く予想されます。しかしながら、 膨大な配列情報と比較して、従来から用いられるタンパク質の生化学的な機能同定の速度は定常状態であり、予測の域を脱しきれない配列情報が溢れかえってしまっています。そこで私達は、網羅的なタンパク質機能解析のためのハイスループット実験技術確立の開発が急務と考えています。本研究では、米国エネルギー省、Great Lakes Bioenergy Research Center (GLBRC, www.glbrc.org)、Joint Genome Institute (JGI, www.jgi.org)及びJoint Bioenergy Institute (www.jbei.org)との連携研究を通し、多様な酵素機能に対応した組換えタンパク質の発現・機能スクリーニング・機能解析といった一連の技術についてハイスループットな実験系の確立を行っています。開発した実験系から糖質分解、糖鎖修飾、糖鎖合成活性を保持する酵素を発見し、バイオマスリファイナリー技術へと応用することを目指しています

引用文献

Deng et al., Rapid kinetic characterization of glycosyl hydrolases based on oxime derivatization and nanostructure-initiator mass spectrometry (NIMS). ACS Chem Biol. 9:1470-1479, 2014

Chandrsen et al., A universal flow cytometry assay for screening carbohydrate-active enzymes using glycan microspheres. Chem Comm. 49:5441-5443, 2013

Takasuka et al., Cell-free translation of biofuels enzymes. Methods Mol. Biol., 1118: 71-95, 2013