北海道大学農学部 GC-MS & NMR 室

GC-MS &NMR Laboratory, Research Faculty of Agriculture, Hokkaido University
http://lab.agr.hokudai.ac.jp/ms-nmr/

北海道大学農学部 GC-MS & NMR 室は農学部の共同利用施設です。北大全学からのMS,NMR分析依頼とNMRの時間単位での装置利用を受け付けています。MSは自作エミッターを用いたFD/FI-MSにより低極性化合物の分析を、NMRは1.7および2.5mmφの微量試料用プローブを備え、オリゴ糖や天然有機化合物の精密構造解析を得意としています。

MS分析では、試料をイオンにしてその挙動から質量を測りますが、試料の性質とイオン化には相性があります。近年進歩の著しいESI-MSは、極性が高い化合物に向いており、極性の低い化合物のイオン化にはFD/FI-MSが向いています。イオン化法の選択を間違えると、フラグメントイオンが増えたり、試料中の微量の不純物が強調されたりして、結果を見誤ることにつながります(右図)。当施設ではFD/FI-MSによる低極性化合物を得意としています。目安としてクロロホルムやアセトンに良く溶けるような化合物、酸素や窒素原子が少ない化合物はFD/FI-MSに適しています。また、イオン化法の選択についてのアドバイスも行います。

FD-MSはエミッターという炭素結晶の生えたワイヤーに試料を載せて高電界に置き、イオン化させます。FI-MSはエミッター近傍に試料を気体で導入します。いずれの測定もエミッターの質が結果を左右するため、当施設では良質のエミッターを効率よく作製する研究も行っています。

NMRによる構造解析で、現在ルーチンに用いられる手法は2000年ころまでにほぼ出揃いましたが、現在も、感度向上や明快に解析できる手法などの開発が続けられています。当施設では、ルーチン法を高感度な改良型に置き換えたり、ルーチン法以外の測定法を取り入れた構造解析法の研究も行っています。とくに、天然物および合成化合物を対象とした、シグナルの完全帰属や、精密な立体構造解析に応用する測定法を得意としています。

たとえば、下図はオリゴ糖の解析例で、プロトンシグナルの重なり合いのためにCOSY(a)を読み進めることが難しいのですが、縦軸を13CにしたH2BCという方法(b)を併用すると、糖残基内のシグナルが帰属できます。これに先立ちHSQC-TOCSY(図(c))でシグナルを糖残基ごとにグループ分けしておくとさらに解析が容易になります。同様に、化学シフトが近接しているシグナル間のNOE観測もHSQC-NOESYでおこなえます。

ふだんご自分の装置で測定している方も、いつものやり方で構造解析ができなかった場合にはご相談ください。当施設での測定だけでなく、その装置での解決法についてもアドバイスしています。


依頼分析は、フォームからのお申込みいただけます.初回または久しぶりにご利用の研究室代表の方はメールでご連絡ください.測測をお申し込みされる方の初回登録などのご案内を差し上げます.測定の混雑状況や休止予定はサイトでご確認いただけます.なお、遠方の部局・施設の方にはサンプル提出やデータの授受に、郵便・メール等をご利用いただけますのでご相談ください。測定結果はpdfファイルのほか、NMRは生データでもお渡ししております。詳しくは利用案内のページをご覧ください。

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