質量分析計に試料を導入する方法は直接導入法のほかに間接導入法、クロマトグラフからの導入法がある。大量の気体がイオン化室以降へ導入されると質量分析装置の真空状態が保てず危険となるため、導入法に工夫がなされている。
直接導入プローブ先端に液体または固体の試料をのせたキャピラリーや(EI,FI)エミッター(FD)、ターゲット(FAB)を装着してイオン化室に導入する。EI.FIの場合は試料はイオン化室の真空条件により、あるいはヒーターにより気化される。
シリンジにより液体または気体試料を間接試料導入系(リザーバー)に入れ、ここで気化させた物をイオン源に導く。この方法でイオン化室に導入された試料は気体なのでEI,CIまたはFI-MSが測定できる。
ガスクロマトグラフと質量分析計をインターフェースで結合した装置が市販されている。測定可能なイオン化法はEI,CIまたはFIである。とくにEI-MSとの組み合わせにライブラリー検索を組み合わせて混合試料中の化合物の同定に威力を発揮している。
ガラスカラム、キャピラリーカラムの両方が使え、後者を得に高分解能GC-MS(HRGC-MS)などと呼ぶこともある。ガラスカラム使用の場合はキャリアーガス(ヘリウム)が試料ガスより拡散性が大きいことを利用したセパレーターによって試料が濃縮され大量の気体が質量分析計に導入されない様になっている。キャピラリーカラム使用の場合は試料挿入以降一定時間後にキャリアガスのパージを開始する(スプリットレス)。いずれも溶媒通過時には質量分析計との間のバルブを閉じたりイオン化室の加速電圧を切ったりしており、溶媒ピークと非常に近接したピークは測定が難しい。
高速液体クロマトグラフィーと質量分析計をインターフェースで結合したもの。組み合わせるイオン化法はFRIT-FABやESI,EIである。移動相にはイオン化の妨げとならない緩衝液を選択する。