もともと「環境問題」と「自然」という漠然としたキーワードで北大農学部に入りました。 造林学の授業で大気汚染が樹木に与える影響という話でオゾンという物質を知り、自分のやりたいことと一致していると思い、造林学研究室を志望しました。 学部4年では現在川口君が使っているオープントップチャンバー(OTC)を用いた、高濃度オゾン及びCO2がカンバ類3種の成長と光合成に与える影響についての研究をしていました。樹種ごとにオゾンの影響が異なり、さらに追究したいと思い大学院へ進学し、現在は開放系でのオゾン暴露実験を行っています。5m以上の木での実験なので、苗木とは違った視点でオゾン影響を調べたいと思い、光環境や葉齢の違いに着目して樹冠としてのオゾン影響を解明したいと思っております。木にアプローチするための足場から作った装置で、毎日のように通っているので愛着を持って研究させて頂いてます。3年目にしてようやく自分なりの色を出した研究が出来そうなので、オゾン研究の日本代表の気持ちで臨んでいきたいと思います。
1.Hoshika, Y., Wanatabe, M., Inada, N., and Koike, T. (2012) Modeling of stomatal conductance for estimating ozone uptake of Fagus crenata under experimentally enhanced free-air ozone exposure. Water, Air, and Soil Pollution DOI: 10.1007/s11270-012-1158-9 (in press)
2.Koike, T., Mao, Q., Inada, N., Kawaguchi, K., Hoshika, Y., Kita, K., and Wanatabe, M. (2012) Growth and photosynthetic responses of hybrid larch (Larix gmelinii var. japonica x L. kaempferi) cuttings to elevated ozone and/or carbon dioxide. Asian Journal of Atmospheric Environment (in press)
3.Hoshika, Y., Wanatabe, M., Inada, N., and Koike, T. (2012) Ozone-induced stomatal sluggishness develops progressively in Siebold's beech (Fagus crenata). Environmental Pollution 166: 152-156.
4.稲田直輝・星加康智・渡辺誠・小池孝良 (2012) 開放系暴露装置によるブナとシラカンバの光合成機能へのオゾンの影響. 北方森林研究 60: 31-32.
5.小池孝良,毛 巧芝,渡辺 誠,稲田直輝,川口光倫、星加康智(2011)北海道の森林を対象にしたオゾン影響解明の展望、北海道の農業気象,63:(2011)
6.小出智也,稲田直輝 (2011) 「森林施業の生態学」の展望―第58回日本生態学会自由集会参加記録―,北方林業 63:227-228.
7.稲田直輝, 渡辺 誠, 斉藤秀之, 澁谷正人, 小池孝良(2011) 高CO2および高O3下におけるカンバ類3種稚樹の成長. 日本森林学会北海道支部論文集, 59, 41-44.