第42回日本木材学会北海道支部研究発表会プログラム

2010年11月9日
札幌コンベンションセンター

展示発表(13:00〜14:30) 102室

番号 題名 発表者 概要
P-1 食用担子菌の菌床栽培における木炭添加の効果 ○杉山諒司,玉井 裕,矢島 崇,宮本敏澄(北大院農),原田 陽(北林産試) カラマツ木炭を培地に添加することで,食用担子菌14種17菌株で菌糸伸長が促進された。選抜した菌株で栽培試験を行った所,ウスヒラタケ,トキイロヒラタケ,エノキタケ,ブナシメジで木炭添加による栽培期間の短縮が確認された。
P-2 木酢液の木材防腐効果に関する組織学的研究 ○鄭 美和,崔 貞恩,洪 鎭英,金 英熙,趙 昶旭 (国立文化財研究所保存科学室,韓国) 有害生物防除のための殺生物質である木酢液の木材適用性に関する研究は重要である。本研究では,人工的な保存処理剤の代わりに,天然物由来である木酢液を用いた木材保存処理剤開発の可能性を木酢液処理後の木材防腐効果を通して探索した。
P-3 スギ材水蒸気乾燥凝縮液の防カビ性能 ○富樫 巌,佐藤明日香,後藤隆之(旭川高専), 藤本英人(宮崎木技セ) オビスギの木材乾燥に伴って大量に排出される蒸気凝縮液の有効活用を狙い,灰色かび病菌のボトリチス属菌,シイタケ害菌のトリコデルマ属菌などに対する同凝縮液,および同凝縮液から回収した精油の防カビ性能を評価した。
P-4 土壌放線菌からの新規プロテインホスファターゼ阻害物質の探索 ○柳田進太郎,三橋進也,重冨顕吾,生方 信(北大院農) プロテインホスファターゼ1型(PP1)の特異的阻害剤トウトマイセチンを産生する土壌放線菌に変異を誘導し,よりPP1に対し選択的で,かつ安定な構造をもつ新規化合物の単離・構造決定を試みた。
P-5 エゾマツ晩材部における褐色腐朽の進行に伴うせん断破壊状況の変化 ○石原 亘,澤田 圭,佐野雄三,玉井 裕,宮本敏澄,平井卓郎,小泉章夫,佐々木義久(北大院農),東 智則,森 満範(北林産試) 褐色腐朽によって,木材のせん断強度は急速に低下する。これに伴い,せん断面の破壊状況にも変化が生じると考えられる。本研究では,顕微鏡観察によって,腐朽した木材のせん断破壊状況を観察し,木材の腐朽機構の解明に関する一考察を行った。
P-6 トドマツの辺材と心材は近赤外分光分析で判別できるのか? ○宮内輝久,藤本高明(北林産試) トドマツは着色心材を形成しないため,乾燥後の材料において辺材と心材を区別することが困難である。そこで,近赤外分光分析を用いた非破壊分析による辺心材の判別について検討を行った。
P-7 土壌含水比の変化がカラマツ立木の根鉢剛性に与える影響 ○関矢 陽,佃 猛司,佐々木義久,小泉章夫(北大院農) カラマツ立木を対象として,樹幹の載荷除荷繰り返し引張り剛性試験を数ヶ月間にわたり複数回行った。結果から降雨による土壌含水比の変化が立木の根鉢の回転剛性に与える影響を考察した。
 

口頭発表(14:45〜17:00) 101室

 座長: 澤田 圭(O1-O3),玉井 裕(O4-O6),佐野雄三(O7-O8)
番号 題名 発表者 概要
O-1 カラマツ木部柔細胞の過冷却能に関与する冬季誘導性タンパク質(LkDRP1及びLkDRP2)に関する研究 ○能美彩香,森本和成,藤川清三,荒川圭太(北大院農) カラマツ木部柔細胞の深過冷却に関わるタンパク質について調べたところ,過冷却能の変化に対応して発現するタンパク質が複数見つかった。これらの中でカナダトウヒのLEAタンパク質と相同性のあったLkDRP1,2を同定するため遺伝子の単離を試みたところ,LkDRP1,2と相同性の高い遺伝子が複数見つかった。
O-2 ハイブリッドアスペンの凍結抵抗性に関する研究 〇板羽貴史,砂留光利(北大院農),上出奈央(北大農),藤川清三,荒川圭太(北大院農) 形質転換のモデル植物であるハイブリッドアスペンの実生を用いて,組織の凍結抵抗性および短日・低温順化過程での生理的・構造的変化を調べた。
O-3 異なる凍結挙動を示すカツラおよびシラカンバ冬芽の組織細胞 ○遠藤圭太,荒川圭太,藤川清三(北大院農) 冬芽特有の凍結適応機構である器官外凍結によって氷点下温度に適応するカツラの冬芽と,植物の一般的な凍結適応機構である細胞外凍結によって適応するシラカンバの冬芽を用い,Cryo-SEMによって細胞レベルで凍結挙動を観察し比較を行った。
O-4 モウソウチク稈水解物のキシリトール発酵 ○松本晃幸,三浦雅弘,横野圭太郎,霜鳥慈岳,青山政和(北見工大), 中原正博(北海道三井化学) 演者らは木質バイオマス高位利用の観点からヘミセルロースを分離抽出し,それらの機能性糖質への変換を検討している。ここでは,モウソウチク稈キシランからキシロースを分離し,酵母を用いたキシリトール生産を検討したので報告する。
O-5 エレクトロスピニング法によるセルロースアセテート・ナノファイバーの調製とその利用 ○冨樫文哉,幸田圭一,浦木康光 (北大院農) エレクトロスピニング法は,ナノファイバーを調製する技術の一つとして注目を集めている。この方法により,セルロース誘導体であるセルロースアセテートからナノファイバーを調製し,ナノファイバーの新たな利用法を検討した。
O-6 カラマツ材の鉄とニッケルの共触媒炭化の効果 ○小泉祐太,鈴木京子,鈴木 勉(北見工大) 本研究では,カラマツ材のニッケルと鉄の共触媒炭化が,木炭の性状へ及ぼす影響について調査した。また,それらの触媒種の木炭中での挙動についても調べた。
O-7 近赤外分光法による様々な含水率状態における木材試料の全乾密度の推定 ○藤本高明(北林産試),土川 覚(名大院農) 気乾から飽水状態まで様々な含水率状態の木材の全乾状態における密度の予測を試みた。各状態の木材から近赤外スペクトルを収集し,それらを多変量解析することによって精度よく全乾密度を推定できることが分かった。
O-8 釘一面せん断単位接合部に対する複数本接合部のせん断性能の比較 ○重本洋介,澤田 圭,佐々木義久,平井卓郎,小泉章夫(北大院農) 釘の端縁距離や本数,打ち方等の条件を変えて,繊維直交方向加力の釘一面せん断実験を行い,釘打ち条件が釘一面せん断接合部の許容耐力に及ぼす影響を検討した。