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研究会の目的

この研究会では、自然公園(国立公園・国定公園・都道府県立自然公園)や国有林をはじめとする、日本の自然地域の管理・政策について議論を行っています。日本では自然地域の自然科学的な知見に関しては様々な研究が行われてきましたが、自然地域と社会や経済とのかかわりについてはあまり研究が行われてきませんでした。

例えば、国立公園に代表される日本の山岳地域では、過剰な利用よって自然環境の破壊や混雑が生じています。このような問題を緩和するため、利用地域の分散化や利用時期の平準化、利用料金、利用者数制限など様々な対策が考えられています。対策が不十分であれば有効に機能しませんし、逆に対策が厳しすぎれば利用者が著しく減少し、地域社会に多大な影響をもたらすかもしれません。どのような対策をどのよう程度対策を講じればよいのでしょうか?

またこれらの対策を実施することで、土地所有者だけでなく、地域住民や観光業者、自然保護団体など様々な利害関係者が有形無形の利益得たり、損害を被ったりします。行政機関や研究者はどのような枠組みを設けて、利害関係者と調整を図り、対策の実施に向けた合意を図っていけばよいのでしょうか?

一方で、自然環境の破壊をできる限り抑え、地域社会にも貢献することを目指したエコツーリズムが注目を浴びています。しかし名前ばかりが先行し、本来の目的から外れているエコツーリズムも巷には溢れています。エコツーリズムが本来の目的を達成するためにはどんな仕組みを作っていけば良いのでしょうか?

このように自然地域と社会や経済とのかかわりに関して、考えていかなければならない課題はたくさん存在しているのです。

WTO(World Tourist Organization)の推計によると、観光産業の規模は将来的に世界のGDPの10%以上にも及ぶと言われています。自然地域の持続的な管理は世界的な課題となりつつあります。諸外国で試みられた様々な研究も参考にしつつ、それらを直輸入するのではなく、日本になじむ形で活用しながら、日本の自然地域の管理・政策について議論を進めて行きたいと考えています。

 

キーワード

自然公園・レクリエーション・エコツーリズム・持続可能な発展・観光・地域経済