1NMR概要

NMR-1

<NMR現象>

正電荷を持ち自転している原子核は核磁気モーメントをもち、一種の磁石とみなすことができる。強い静磁場中(外部磁場中、サンプルをマグネット中に入れた状態)では核は傾きかけた独楽のように歳差運動をするようになる。試料全体についてみれば歳差運動の位相はでたらめで、正味の磁化の向きは歳差運動の軸の方向となり、それ以外の方向の磁化はない。

a nuclear is a magnet

静磁場中で磁化の向きは静磁場と同じ向きか逆向きにそろう。エネルギー的には、静磁場と同じ向きのほうが低く若干安定であり、この向きになっている核のほうが少し多い。そして静磁場と同じ向きと逆向きの間のエネルギー差(ゼーマンエネルギー)は核の置かれた状況によって異なる。

zeeman splitting

核は、上記エネルギー差と同じエネルギーを持つラジオ波を与えられるとそのエネルギーを吸収する。そのときのラジオ波の周波数は歳差運動の速さと等しく、これがNMRの共鳴周波数である。核の置かれた状況によって異なるこの周波数を調べて外部磁場の周波数に対してppmで表した(ケミカルシフト)図がNMRスペクトルである。例としてsucroseの1H-NMRスペクトルを示す。

proton NMR spectrum of sucrose

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