研究内容

研究目的

日本にはダイズやアズキの野生種が自生しています。これらの野生植物は長い年月をかけ人の手によってダイズやアズキへと変わってきました。これを専門用語で栽培化といいます。この栽培化を通して人は様々な場所で様々なダイズやアズキを作り上げてきました。例えば種子を例に挙げると,大きさ,色そして形の異なる在来種が各地に存在します。このれらを我々は遺伝資源と呼び,今も品種改良においてこれらの在来種を活用しています。私たちは,この遺伝資源の特徴を正確に把握し,それらの特徴を規定する遺伝変異を見出し,その遺伝変異がもたらす機序を理解し,さらにそれら変異の活用方法を提案することも含めて研究を進めています。


メッセージ

CEO

大豆と小豆は我々日本人にとって欠かすことのできない食材の一つです。こういった植物を研究対象にすることよって,基礎から応用までの幅広い研究が行えると考えています。また,ダイズやアズキの祖先野生種は日本にも自生しています。そのため,栽培化という過程がとても身近に感じることができる魅力もあります。私たちはこれらの遺伝資源の中に見られる様々な遺伝変異を主に分子遺伝学の分野において研究を行っています。このページをご覧頂いた方に少しでも私たちの研究について興味を持って頂けると幸いです。


研究の概要

ここではどのような研究を行っているか,その概要についてお話しさせて頂きます。植物に対する深い理解を基礎におき,そこから生まれる知見を活用した品種の改良や科学技術の確立をめざした学問をバイオサイエンスという言葉に置き換えて紹介しています。より詳しい内容をお知りになりたい方は連絡下さい。


種子色のバイオサイエンス
上の写真からもダイズやアズキには様々な色をもったものがあることが分かります。これらの色の違いは色素を作る生合成経路などに変異が起こっていることが多いです。そこで,色の違いがもたらすメカニズムを理解するため分子遺伝学的および生理生化学的な解析を通して研究をしています。これらの個体を詳しく調べることは基礎的な知見を得るだけでなく,それらの変異を利用することで色の改善などを行うことが可能になります。
種子の形と大きさのバイオサイエンス
植物体の形態は収量の構成要素としてとても大切です。特に、種子の大きさや数は収量と密接な関係があります。上の写真から大小様々な種子が存在することがお分かりいただけると思います。また、種子の形も球形に近いものから,俵型や扁平のものなど様々です。特に,種子の厚みが変わると熱の入り方が異なることから調理特性が大きく変わります。そこで,私たちはこれらの種子の大きさや形の違いを遺伝子レベルで明らかにすることを目的に分子遺伝学的な解析を行っています。種子の大きさや形を意図的に改変することも可能になると考えられます。
温度と種子成分のバイオサイエンス
植物にはそれぞれ生育に適する気温があります。しかしながら、自然環境下では低温や高温など気温は大きく変化します。それらの変化に伴い植物の生長期間や種子の形成時期およびその品質も変化します。そのため,私たちはこれら生育温度の変化とそれに伴う各形質の変化を遺伝子の発現レベルで明らかにする研究を行っています。これらの研究から得た知見を上手く活用すると栽培地域を変えることで,品質を大きく改善させることが可能になるかもしれません。
バレイショのバイオサイエンス
北海道はバレイショの主要な産地です。バレイショは大きく食用とでん粉用に分けることができます。私たちは特に食用バレイショの加工特性に関わる形質を理解するため,分子生物学的な手法を用いて研究を進めています。これらの理解は加工特性を改善したバイレショの育成に繋がる可能性があります。
新しい育種技術の開発
ゲノム編集をはじめとする様々な新しい育種技術が開発されています。私たちはダイズとアズキのゲノム編集プラットフォームの構築を行っています。もちろん、新しい育種技術としての可能性を探ることも行いますが、遺伝子の機能を調べるための材料つくりにも利用しています。