銘木生産への道

価格の低迷が続くトドマツやカラマツ等の針葉樹材に比べて、比較的高価格で取引されているのがマカバ(=ウダイカンバ)、セン(=ハリギリ)、ナラ(=ミズナラ)、アカダモ(=ハルニレ)、タモ(=ヤチダモ)等の落葉広葉樹である。1960年代の拡大造林施策の中で、これらの優良木を惜しげなく伐り針葉樹を植えてきた(黒化促進時代)。現在は混交林への誘導など、広葉樹資源への期待は揺るぎない。しかし、その特性には依然として不明な点が多く(小池1993)、生理生態的特性評価も今後の課題である(一里塚としての博士論文「北海道天然生林の落葉広葉樹の光合成特性に関する環境生理学的研究」をこの課題で作成した)。この方法については、伝統ある業界誌「山林」に私の銘木生産の基本的考え方を印刷頂いた(file山林11月配布原稿.pdf)。また、古老の言葉に感銘を受けた内容は、北方林業へ掲載いただいた(file小池ー天然生林.pdf~)

銘木生産

銘木生産はバイオマス生産とは全く異なる。北海道へ配属になって山を見た時に、「平均値の世界」から解き放たれた思いであった。単木管理をすることによって、80cm径x4m長の広葉樹丸太が200万円以上の価値を生む。儲かるウダイカンバ(=心材の色が美しく大きい材をマカバ[真樺]と呼ぶ)生産は単木管理にその基礎がある(少なくても2007年7月までは)。実践例は、東大演習林(現在、新領域)の山本博一氏が博士論文に方針の1つとして、まとめておられる「択伐林施業計画のシステム化に関する研究」(東大博士(農学)論文)。

マカバ皮目.jpg       プラス・マイナス木.jpg

左図:将来の衰退木を「皮目」から推定する。生理解剖学の裏付けの弱いことが弱点。
右図:プラス木は銘木候補であるがバイオマス生産には不適な個体。一方、マイナス木はバイオマス生産に適した「プラス木」。これはMS理論(1953年に発表されたMonsi−Sakekiの生産構造図の広葉型とイネ科型に対応)からも自明。高密度生産に対応できる。

針葉樹林に侵入した有用広葉樹

代表樹種としてハリギリ(=セン)を取り上げたが、ここでの提案は林内で単幹の状態で過ごすことの多い遷移中間種の多くに当てはまると思う。依然として材価のふるわないトドマツなどの針葉樹に中に更新してきたハリギリやヤチダモ等を大きく育てることは「夢」である。この夢に実現にはWhole plant physiologyとBranch autonomyの視点が欲しい。ここで、断らねばならないが、有用広葉樹とは銘木として高価格材として取引される樹種であって、森林樹木に無用な樹種はない。なお、これらは天塩研究林での話題提供によって技術職員・森林技能補佐員の皆さんにも吟味頂いた内容でもある(07年7月)。
2008年3月、いよいよトドマツ人工林の伐採が始まった。タンタのハリギリ研究にも期待がふくらむ。

トド・セン.jpg        RLタモ・セン枝.jpg
トドマツ人工林に侵入したハリギリ個体群(天塩林・タンタ)     相対的光量とヤチダモ・ハリギリの伸長成長・分枝(Y)

引用文献

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添付ファイル: file小池ー天然生林.pdf 1971件 [詳細] file山林11月配布原稿.pdf 3529件 [詳細] fileRLタモ・セン枝.jpg 1032件 [詳細] fileトド・セン.jpg 852件 [詳細] fileマカバ皮目.jpg 980件 [詳細] fileプラス・マイナス木.jpg 908件 [詳細]

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最終更新日: 2015-01-29 20:56:43 (木)
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