筆者らは18年間の林分動態について、予測可能性(遷移は光をめぐる競争から説明できる)と予測不可能性(遷移は撹乱の頻発や他の外的要因を契機として起こる)の立場から検証している。また小規模撹乱が遷移の方向性に与える影響についても考察している。
18年間で林分全体では個体数、胸高断面積の変化は僅かであった。樹種ごとでは耐陰性の高い樹種が小径階で個体数を増加させており、進界率が高く枯死率が低い傾向が見られた。また小規模撹乱(胸高断面積で4.5%損失)による樹種構成への影響は小さかった。
18年間の樹種構成から林分動態は光競争と関連しているようで、概ね予測可能であると結論できる。ただし耐陰性樹種の一部が衰退しており、他の要因によっても動態の予測可能性が限定されうる点も示唆された。
キーワード:撹乱,遷移,耐陰性,林分動態,枯死率