針広混交林の16年間の林分動態

文献

 Stand structure and dynamics during a 16-year period in a sub-boreal conifer-hardwood mixed forest,northen Japan
  Forest Ecology and Management (2003) 39-50 Takahashi,K. ,Mitsuishi,M. ,Uemura,S. ,Suzuki,J. ,Hara, T.

要旨

 北海道の針広混交林1ha(林床はササ)で1982年〜98年まで林分構造と更新動態を調査した。優占種はミズナラ、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、トドマツである。82年の密度は651本/ha(樹高2m以上)と低く、期間中の枯死率はどの種も低かった。
 齢分布はミズナラが200年ピークの一山型だったが、他3種は逆J字型か平らであった。またミズナラは進界木はないが他種では多かった。このことからミズナラは個体群の維持を偶発的撹乱に依存していると言えそうである。
 進界木と林冠木の分布相関についてみると、ミズナラ林冠木と全種の進界木が正の分布相関を示し、その他は負の分布相関を示した。樹冠はミズナラより他3種の方が低い。こうした更新木と上木の空間関係により、他種および自種の成長速度へのミズナラの競争効果がもたらされた。しかし枯死率が低いので種内、種間競争は強くは働いていないと考えられる。
 種の共存には、上木の種内、種間競争よりも更新に影響を与える要因(撹乱やササなど)の方が重要な働きをしているようだ。


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
最終更新日: 2005-07-30 02:18:06 (土)
分野ゼミ/文献紹介ゼミ/2005-07-29 vol.19