今週も2本立てです。
シロイヌナズナは代表的なモデル植物で、シークエンシングプロジェクトにより、その全塩基配列が明らかになった種である。今後、この莫大なデータベースをもとにして、遺伝子発現の解析などを通して、機能解析を行うことが重要である。
この研究では、マイクロアレイを用いて遺伝子発現の解析をしている。マイクロアレイは、大多数の遺伝子発現を解析することができるという点で、近年、注目されている手法である。
目的とした遺伝子は、乾燥に誘導される遺伝子、低温に誘導される遺伝子、DREB1Aの標的遺伝子である。例えば、植物が乾燥ストレスを受けた場合、これらの遺伝子が発現することによって、植物はストレスに対する耐性を獲得すると考えられているからである。この研究の目的は、これらの遺伝子の発現パターンを確かめるとともに、ストレスに誘導される新たな遺伝子の探索をすることである。
このように遺伝子発現のデータが蓄積されることで、植物の成長・ストレス応答などの多くの重要な工程に関連する遺伝子を同定することが可能となる。さらに、それらを応用することで、植物が持っている重要な機能の分子機構を明らかにすることができる。
本論文では、種間の耐陰性を比較する上で個体サイズという要因の影響に着目した。種間で耐陰性を比較する場合、RGRとその構成要素を調査し、種間で比較する方法がひとつの方法として挙げられるが、RGRの構成要素は個体サイズによっても変化することが指摘されている。すなわち、個体サイズを考慮することにより、種間の耐陰性の違いをよりよく理解することができると考えられる。本研究では暗い環境に生育する樹高1m未満の4種の常緑広葉樹のRGR、LAR、SLA、LMF、RMF、葉寿命を比較した。その結果、耐陰性の高い種は低い種よりも厚い葉を作り、葉への投資が大きかった。このことにより、耐陰性が高い種のRGRは個体サイズが小さい段階では低い種よりも小さかったが、樹高50cm付近で逆転した。これは、耐陰性の低い種の炭素収支が徐々に負になってきていることが原因として考えられた。当日はパワーポイントを用いて、できるだけ視覚的に個体サイズというものが耐陰性に与える影響と、植物の形から耐陰性について考えられることを説明したい。
当日はpower pointによる発表を予定しています。なお、紙媒体をご希望の方は、以下の2つのファイルをゼミまでにご自分でダウンロードし、印刷してお持ち下さい。
こちらが発表ファイル
キーワード: 耐陰性、植物の形、種間関係