森林資源生物学のアウトラインへ おもな研究フィールドと実験の紹介 研究論文,卒論,修論等 研究室のイベントなど
学部学生と大学院生の自己紹介 スタッフ リンク  



マクロスケール&ミクロスケール生物学のクロスオーバー

森林資源生物学のアウトライン

 大学院の研究・教育をより充実するために、1998年4月に発足した新分野です。大学院の組織ですが、学部の講義・実験・実習にも参加し4年生の卒論指導も担当しています。森林資源生物学には,研究領域の異なるスタッフがいます。森林科学の中に新しい複合領域の研究を萠芽させるために発足した分野です。そのために他の関連分野との連携にも積極的に取り組みます。

 森林生態系には多様な生物資源があり,多様な価値認識と利用が求められています。何よりもそのような多様性をもつ空間である森林資源の充実と維持・保全に努めなければなりません。これらの技術は、充分な自然認識に支えられたものでなければなりません。そのためには、それぞれの生物の生活内容と生物社会の仕組みを深く理解する必要があります。

 当分野で扱う資源生物とは森林性の植物および菌類です。すなわち、森林のなかで生産と分解を担う、木本植物、草本植物、菌類(きのこ)を指します。まず彼らの生活特性を十分に解明しなければなりません。生物の生活は個々の種で独立しているわけではなく、ある生物の生活は他の生物の生活に影響を与えます。また物理的環境要因も彼らの生活内容を左右します。生物の生活は物理的・生物的相互干渉系のなかで成り立っています。




 そこには、空間的にも時間的にもマクロスケールからミクロスケールまでの生物的・非生物的環境と互いに切り離せない生態的関係があります。これらはすべて森林の態様に影響を与える重要な関係です。当分野では森林性の植物と菌類の生活を軸に、マクロな生物現象とミクロな生物現象の相互関係を重視した生物社会(森林)の総括的理解を深め、そのうえで,森林資源の総体的な管理のあり方や資源生物の新しい利用技術を提案してゆきます。

 そのなかで成り立っている資源生物の生活特性を解き明かすためには、多角的な視点と研究手法が必要です。多様な生物相の中で,構成種の生活内容の複雑さは言うまでもありません。当分野では,これに取り組むために,分野としての短期的課題を設定し,必要に応じて他分野との連携も視野に入れ,重点的に進めてゆくこととしています。

 もちろん,自由な発想に基づく研究も支援します。現在,当分野で行われている多様な研究については,「スタッフ」,「学生」紹介ページのほか,研究論文・修士論文・卒業論文の要旨を掲載した「研究ノート」を参照してください。



短期的重点課題

「火山及び河川攪乱地における植生と菌根菌の共生」
火山性攪乱地では渡島駒ヶ岳の植生回復過程に注目しこれまでに林分構造や水分条件との関わりを検討したうえで,主要な更新樹種であるカラマツの根圏の観察から,植生回復過程に重要と見られる菌根菌タイプを示してきた。オノエヤナギの侵入初期にかかわる外生菌根菌やAM菌の存在も明らかになりつつある。研究対象地に新しい火山性裸地である有珠山を加え,菌根菌の存在様式と機能を評価することで,植生動態に関わる根圏での生物的相互作用のメカニズムを解明する。

「環境インパクトに対する根圏生態系のモニタリング」
植生の維持・発達にとって重要な植物−菌類の共生・分解系は,火山噴火などの大規模攪乱を機に,劇的に変化する。環境インパクトに対する根圏生態系の変化は,時間軸に沿って互いに関連しつつ変遷してゆくものと考えられる。本研究は,2000年の噴火で大量の火山降下物が堆積した有珠山において,中〜長期的なモニタリングをめざしつつ,まず植生回復と根圏生態系の初期ステージを明らかにする。

「ケショウヤナギを中心とする河畔林の動態と物質循環」
陸上生態系と河川生態系の接点である河畔林の機能とその保全が近年ますます重要になってきている。氷河期以降の気象変動の遺産でもあるケショウヤナギ河畔林は,現在では北海道に残された大規模河畔林の代表でもある。河川の攪乱による流出や滞留によって,河畔林特有の物質循環プロセスが存在すると考えられるが,明らかにされていない。ヤナギ類の更新特性や林分構造の発達過程をふまえ,ヤナギ科河畔林の動態と物質循環を明らかにすることで,陸上−河川生態系の連携に果たす河畔林の機能を検討する。

「有用森林資源生物の生育環境及び利用」
これまでに,住民の里山利用の実状把握や野生ヤマノイモの形質変異の解析などを通して,森林−人間社会の共生について,そのあり方を提案してきた。近年,森林の質・量の変容や里山の崩壊などによって,薬用・食用等の資源生物の生息環境や利用に変化が生じてきていると予想される。本研究は,資源生物の持続的利用の条件を明らかにするために,森林タイプや林内環境の変化と有用植物の生育実態を分析し,現状と課題を明らかにすることを目的としている。





これらの課題に関連した研究協力者(学部学生・大学院生)を募集中です
関心のある方はメールでスタッフに問い合わせて下さい



北海道大学大学院農学研究科修士課程入学試験学生募集について



森林資源生物学のアウトラインへ おもな研究フィールドと実験の紹介 研究論文,卒論,修論等 研究室のイベントなど
学部学生と大学院生の自己紹介 スタッフ リンク