愛媛大学農学部附属農場(共同研究)

愛媛大学農学部附属農場での共同研究紹介

愛媛大学農学部の土壌肥料学研究室と共同研究を行っています。愛媛大学農学部附属農場は愛媛県松山市の旧北条市に位置し、水田や園芸畑、広大な果樹園を有する施設です。愛大附属農場のオギススキ(Miscanthus x giganteus)栽培試験圃場で研究を実施しています。

愛大附属農場のある愛媛県松山市は四国の北西側にあり、伊予灘に面東に高縄山がそびえています。1991年から2020年の年平均気温は16.8℃、年平均降水量は1404mm、年平均日照時間は2014時間と、温暖な瀬戸内気候です。日本構造線北側に位置し領家花崗岩が主な母材でいわゆるマサ土と呼ばれ、愛大附属農場の土壌タイプは主に褐色森林土や未熟土に分類されます。

愛大附属農場のオギススキ(Miscanthus x giganteus)栽培試験圃場では、阿蘇の草原の管理を再現した処理区を設け、2016年からオギススキの生育や土壌炭素の変化に関する研究を行っています。圃場には無栽培区、栽培地上部刈取区、栽培地上部還元区、栽培地上部燃焼還元区、栽培地上部燃焼還元増量区の5処理区を設け、オギススキの地上部の持出しや圃場への還元、また燃焼残渣(炭化物や灰)の還元が、オギススキの生育や地上部生産、土杖炭素等の土壌特性に与える影響を調べています。

オギススキ圃場(2023年5月)
オギススキ圃場(2023年5月)

毎年1月下旬にオギススキの地上部を刈り取り、重量を測定の後、粉砕したり燃やした燃焼残渣を処理区に戻す処理を続けています。ススキ属植物の特性として、夏期に土壌から養分を吸収しながら光合成産物を地上部に蓄え、秋に地下茎に転流して地上部が枯れ上がる特徴があります(Stewart et al. 2009. GCB Bioenergy, 1, 126-153)。わずかながら残る地上部の養分は、その管理の違いにより圃場から持ち出されたり形態を変えて還元されることになるため、その管理の違いが翌年の土壌への養分供給や物理化学性に影響します。ここでの研究は毎年地上部の生産量を測定しているほか、各年で土壌を採取し仮比重や土壌炭素含量、土壌δ13C、腐植等を分析し土壌炭素の量や形態を調べ、管理方法の違いが土壌炭素の蓄積量や形態変化に与える影響について研究しています。母材は違いますが阿蘇の草原での研究と連動した研究となっています。

燃焼残渣
燃焼残渣

 

地上部燃焼や還元後の圃場
地上部燃焼や還元後の圃場