1. 土壌を科学する

土壌は、砂や粘土などの無機物、生物由来の有機物、ヤスデやミミズなどの小動物、カビやバクテリアなどの微生物、水、空気で構成されます。このバラエティーに富むにぎやかな空間で起こっている諸現象とその中の物質の特徴を、土壌物理学、土壌化学、コロイド科学の視点から探求します。

  1. 土壌中の水分・溶質・ガス・熱移動特性
    土壌中では水、溶質、ガス、熱が多様な作用を受けながら移動しています。これら土壌内の物質・熱挙動を探求します。数値シミュレーションから、土壌内の物質・熱挙動を予測することも行います。
  2. 土壌中におけるコロイド物質動態
    土壌中には、ナノからマイクロスケールの微粒子(コロイド物質)が存在します。反応性が高いコロイド物質は汚染物質の輸送媒体にもなります。土壌中のコロイド物質の挙動を探求します。
  3. 農地土壌における理化学性の不均一性
    広がりを持った農地では、土壌理化学性の不均一により、作物生育のムラが生じています。肥料や土壌改良資材などを効率良く投入するためには、この様な土壌の不均一を明らかにする必要があります。
  4. 土壌中における吸着現象・土壌の分散現象
    土壌表面への物質の吸着メカニズムや土壌の分散・凝集現象を探求します。土壌の中では、静電気力、分子間引力、疎水性相互作用など、多様な力が働きます。
  5. 土壌内部(間隙)構造の可視化・定量化
    土壌中の物質挙動は土壌内部の間隙を通して生じます。X線CT装置などを用いて土壌内部の間隙構造を可視化し、物質移動との関連を探求します。