生物生態・体系学分野


長谷川英祐(博士(理学))のラボに来る方法、研究テーマ・自己紹介など

動物の野外観察、室内での飼育実験、ゲノム内DNA多型、塩基配列などの分子生物学的遺伝マーカーを用いた集団内の遺伝構造や種間の系統関係の分析、コンピュータシミュレーションなどの様々な方法を用いて、昆虫から脊椎動物まで、様々な種類の動物を用いて、進化生物学,動物行動学、動物生態学の研究課題を研究しています。研究は何より面白いことがいちばんであると断言します。

I. 長谷川ラボに来る道筋

1) 北大総合理系に入学して、2年次に上がる時に農学部生物資源科学科に入り、3年次に上がるときにラボに分属する。一番正統的な方法ですが、生物資源科学科に入るためには1年次の成績が良くないとダメです。大体の科目が秀で優がちらほらくらいの成績でないと入れません。私は少々成績が悪くても面白いヒトに来て欲しいのでが、これは制度上の問題なのでいかんともしがたいです。

2) 2次試験の後期日程で農学部を受験し、3年次に上がるときにラボに分属する。抜け道的方法で、大学に合格しさえすれば、長谷川ラボ希望者が多数いるときを除いて大体来れます。

3) 他大学に入学しておいて3年次編入試験を受けて来る。編入試験に通らないとどうしようもないですが、このルートで来る学生もたまにいます。

4) 修士の入試を受けて、修士課程から来る。修士の試験(英語+専門科目2つ)で全教科60点以上取れれば、面接で気が狂ったようなことをやらない限り大体OKです。

5) 博士の入試を受けて、博士課程から来る。博士の試験(英語・専門1つ(内部受験の場合は専門のみ))に通ればOKです。

II. 研究テーマについて

最近は以下のようなことを、学生と一緒にやっています。下記のテーマは一般受けを狙っているわけではなく、ちゃんと学問的な裏付けがあるのです。生物で見られる現象には、必ず理由があります。面白いこと、不思議なことの理由を突き止めるために、野外調査、飼育実験、DNA分析などあらゆるテクニックを使って研究を進めます。そしていい結果が出たとき、これほど楽しい瞬間はありません。あなたも自分の興味あるテーマで、研究の醍醐味を味わってみませんか?

・ノコギリクワガタの大型オスは顎が長いと眼が大きいのに、小型オスは顎が長いと前足が長い。なぜだろうか?-

・働くアリと働かないアリはどちらが「幸せ」か?-

・はたらかない働きアリはなぜいるのか? -疲れる集団の社会生理学-

・アリやハチは1匹1匹は結構バカなのに、コロニー全体はなぜ高度に合理的な判断ができるのか?

・多数決で行動を決めるのはどのような場合に、個体が決めるよりも有利になるか

・ヨモギヒゲナガアブラムシはなぜ種内であんなに色が多様なのか
(写真)

・カラスが午後に作る大きな集団は時間とともにその意味が変わるか?

・コハナバチの真社会行動の意志決定因は血縁選択か集団選択か?

・ノコギリクワガタのオスの二型と左右非対称性の関係

・オスがオスを無性的に生産する(オスとメスが種分化している)ウメマツアリの進化史

・動物は、なぜ将来の大きな利益よりも目先の小さな利益を選んでしまうのか?

・捕食者の補食のパターンはグッピーのメスの“珍し物好き”を進化させるか?

・グッピーのオスは、自分がもてるオスであるときはライバルが現れても求愛をやめないが,もてない場合はすぐにあきらめる-

・コオロギのメスは、若いときはシビアにオスを選ぶが、年を取ると誰でもよくなる-

・メスはなぜオスより長生きなのか

・量的遺伝形質の対立遺伝子は単一の遺伝子座の対立遺伝子より有利なのか?(モデル研究)

III. 自己紹介など

いままであつかった材料はアリを中心とした昆虫が多いですが、材料にこだわりはなく、面白い論理を証明できるなら何でも構いません。もちろん、脊椎動物の研究をしたい人も大歓迎です。モデルを使った研究もやっています。また、ある論理が「実際の生物に存在すること」が、生物学としてとても重要なことだと考えています。私は実証研究を好みますが、モデル研究は、実在の生物で起こっている現象を解明するための思考実験と考えています。

とにかく、生物が好きで、面白いことや他人が考えていないことをやってみたい、という学生さんを歓迎しますし、それこそが科学の醍醐味だと思っています。他人が考えた論理の後追いの実証ってタノシイですか?ちなみに、これが本当なら絶対 Nature!というネタを、いままでに50コくらい思いつきましたが、40コくらいは忘れてしまいました。指導している学生さんたちとは、「とりあえず Nature!」が合い言葉です。座右の銘は「退かぬ、媚びぬ、省みぬ」です。

学生達から漏れ伝わる評判は、「発想が突飛」、「怖い」、「バカだ」、「厳しい人」と良いのか悪いのかよくわかりません。学会でお会いした方々はご存じでしょうが、ヘンな格好をしていることが多いです。サングラスをかけるのも好きです。趣味は、クルマ(現在、Alfaromeo Spider V6 3.0 azzurro nuvora, Alfaromeo Stervio 2.0 Q4 alfa rosso を所有)、映画鑑賞(年間5〜60本は観る。一番衝撃を受けたのは「鉄男」(塚本晋也監督)
「映キチA子さんの映画の小部屋」へ)、釣り(川のフライ、海釣り)などです。マンガは人生の友であるとも思っています。このような人物ですが、よろしく。

私が指導している学生には、最初の1年間、通称「サシゼミ」なる特典がつきます。内容は、月ごとにテーマを決めて5本以上の関連論文を読んでいただき、私の前で論文内容の要約および、自分の研究との接点・考えたことなどをレビューしてもらう、というものです。論文内容の紹介の精度よりも、自分の研究に関して何を考えたかを重要視します。きついですが、確実に力はつきます。

また、日常的に学生達とお茶など飲みながら、研究アイデアやさまざまな話題についてブレイン・ストーミングもやっています。実は、これは互いの研究能力を高めるために非常に重要なことだと考えています。各学生がやっている研究についても、2ヶ月に1回くらい、そこまでのデータをまとめて見せていただき、その後の進め方について討議しています。学生の野外調査についていって手伝ったりもします。

このようにして日々は流れ、頼りなかった学生もいつの間にか相応の研究者となっていくのです。

研究室の日常を知りたい人は、マンガAnimEcolな人々をご覧ください。

私の元で研究してみたい、あるいはもっと詳しい話を聞いてみたい、という方はehase[@]res.agr.hokudai.ac.jpに御連絡ください。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

研究材料の写真など)。

業績を詳しく知りたい人は下記の「業績一覧」をご覧ください。
業績一覧)。