5.疫病菌集団の相互関係

疫病の病斑(帯広市)

日本のジャガイモ疫病菌集団の相互関係は?

日本におけるジャガイモ疫病菌の遺伝子型同士の関係については、現在のところ次のような仮説を持っています。これらは各集団のアイソザイム解析・RG57フィンガープリント解析の結果に基づいています。

① 最初に US-1 が全世界に広がっていた

② 80年代になり、新たに新大陸から欧州に A2 交配型の菌が広がった。日本に侵入したJP-1はこの系譜。JP-1は日本国内でUS-1に替わり優占していった

③ 90年代中頃、新たなA1交配型であるJP-2が海外から侵入した。ほぼ同時に日本国内でJP-1との交配がおこり、新たにJP-3が生じ一時的に拡大した

④ 2000年代初め頃、北海道に新たな遺伝子型JP-4が出現した。アイソザイム解析により当初はJP-1とJP-2の交配後代であると考えられていたが、その後の詳細なマイクロサテライト解析の結果からその可能性は否定された(未発表データ)。現在のところその由来ははっきりしない

日本のジャガイモ疫病菌は種類やその分布が数年前とは大きく異なっているようです。

その種類が「遺伝子型」という単位で変動していることを考慮すると、この遺伝子型がこの菌にとって重要な意味を持っていることが予想されます。

ジャガイモ疫病の防除を考える上では、遺伝子型によって疫病菌の性質がどのように違うのかをしっかりつかんでおくことが重要です。
(生育特性やジャガイモ品種との関係・薬剤感受性など)