実験プロトコール

ミクロトーム

秋野聖之のページ3

既存の実験プロトコールも、自分でやってみるといろいろ改良したいところが出てくるものです。ここでは私たちが実際に試してみて改良した結果、良い結果が出たもののみを紹介しています(表題をクリックしてください)。

プロトコール1:ジャガイモ疫病菌の分離と観察

圃場で発生したジャガイモ疫病

本項目では主にジャガイモ疫病を用いて、初めて糸状菌を扱われる方々を対象にして圃場における糸状菌病の発生の様子からサンプルの採取・実験室での病徴観察(肉眼および顕微鏡)・分離培養法・接種実験といった基本的な操作を実習していただくことを目的としています。この実習内容は北海道大学農学部における生物資源科学科植物病理学実験2年・3年生の課程を参考に再構成したものです。
(第7回 日本植物病理学会 植物病害診断プログラム テキストから転載)

プロトコール2:ジャガイモ疫病菌からの DNA 分離法(DNA フィンガープリント用)

RG57 フィンガープリントの例

ジャガイモ疫病菌の遺伝子型を判別するためのRG57フィンガープリントは、サザンハイブリダイゼーションでシグナルを検出する方法です。そのために使用するDNAは分解の少ないものを準備しなければなりません。今では多くのDNA分離キットがありますが、なかなかこの菌でうまく使えるものがないようです。私たちの研究室でいろいろ試したところ、昔ながらに菌体を乳鉢ですりつぶし、フェノール抽出した後にエタノール沈殿でDNAを得るのがもっとも良い結果になるようです。標準同時処理数は4菌株で、所要約5時間です。

プロトコール3:ジャガイモ疫病菌からの DNA 分離法(マイクロサテライト解析用)

マイクロサテライト解析 Pi33

ジャガイモ疫病菌の遺伝子型を判別するためのマイクロサテライト解析では、サザン解析用に比べてかなり簡略化された方法で分離したDNAを使用することができます(蛍光色素で標識されたプライマーを用いてPCRを行なうため)。 標準同時処理数は36菌株で、所要約2時間です。
しかしこの方法で調製したDNAはEtBrで検出する普通のPCRには使えないようです。