4.海外との関係

アイルランドの品種

日本のジャガイモ疫病菌は海外のものと密接な関係をもっている?

日本では、1996年ころに初めて JP-2 が見つかりました(加藤らによる)が、その出現のしかたは突然でした。
なぜこのような形で新しい遺伝子型の菌が生じるのかについては、つぎの2つの原因が考えられます。

① 国内で変異が生じて新しい遺伝子型ができた
② 新しい遺伝子型は海外から侵入してきた

そこで他の国に似たような遺伝子型の菌がいないかどうかを調べてみました。

その結果、JP-2 と同じかよく似ているものが海外にも存在していることがわかりました(Akino ら 2004 を参照)。それを図にしたものがこれです。

これから確認しなければならないことは、

① 海外の菌は本当に JP-2 と同一のものか?
② もし同一なら、その移動経路はどのようなものであったのか?

という点です。現在、各地の研究者の方々と連絡を取って菌の実物同士を比較することを検討しています。これらを明らかにすることによって、将来また新しい菌が国内に侵入してくることを防ぐための貴重な知見が得られると考えられます。

補足:アジア諸国におけるジャガイモ疫病菌の遺伝子型分布 1992-2000
(Gotoh ら2005)

私たちの研究室では、各国の研究室と共同でアジア諸国の疫病菌集団について調査を行ないました。現在では各国の状況も大きく変化しているのではないかと思われます。