DNA分離1(フィンガープリント用)

収穫後のコムギ畑

Phytophthora 細胞からの total DNA の分離

○試薬
抽出 buffer  (100mM Tris-HCl pH 8.0; 50mM EDTA; 100mM NaCl;
10mM β-mercaptoethanol; 1% SDS) 用時調製、保存不可
1M Tris-HCl (pH 8.0) 1ml
0.5M EDTA 1ml
3M NaCl 0.33ml
β-mercaptoethanol 7μl
10% SDS 1ml
MQ で10ml とする/室温保存
RNase A 溶液 (RNase A 10mg/ml)
10mg RNase A (SIGMA) を 1ml 沈殿溶解緩衝液に溶かし、沸騰水中で15分間加温 し室温に戻す。-20℃保存。使用時には100倍に希釈する。
Proteinase K 溶液(Proteinase K 10mg/ml TE)
フェノール/クロロホルム /イソアミルアルコール
TE飽和フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(50:50:1)
クロロホルム
3M 酢酸ナトリウム溶液 (pH 5.6)
100% エタノール
75% エタノール
TE (10mM Tris-Hcl pH8.0 ; 1mM EDTA)
1M Tris-HCl (pH 8.0) 10ml
0.5M EDTA(pH 8.0) 2ml
MQで 1000ml とする/4℃保存

○操作

1菌株あたりシャーレ15〜20枚(RyeA 液体培地)を用いて培養する

培養菌体(湿重 2〜4g)をブフナー漏斗で集め、秤量する(-80℃で保存可能);液体窒素中、乳鉢で破砕する(疫病菌 10分・多核Rhizoctonia は 15分以上/)

破砕した菌体粉末を融解しないうちにオークリッジチューブ内(ほかの入れやすい容器でも可)の 10ml (菌体量により加減する)抽出 buffer に穏やかに懸濁する(少々固まりが残っても問題ない)

65℃で 10 分間保温する

12,000 ×g、10分間遠心する;上層を新しいオークリッジチューブに移す(8〜9ml、デカンテーション)

1/100量のRNase A 溶液を加え、37℃で30分間保温する;1/50量のProteinase K 溶液を追加し、、37℃で15分間保温する(この処理の成否が制限酵素分解の結果に影響する)

10ml のフェノール/クロロホルム /イソアミルアルコールを加え、10分間穏やかに反転混合する(1)(フェノールが漏れないようポリ袋で包んで操作する)

12,000 ×g、10分間遠心する(変性タンパク質の中層が見える);上層を新しいオークリッジチューブに移す(8〜9ml、先を切ったブルーチップを使用)(1)

10ml のフェノール/クロロホルム /イソアミルアルコールを加え、10分間穏やかに反転混合する(2)(フェノールが漏れないようポリ袋で包んで操作する)

12,000 ×g、10分間遠心する(変性タンパク質の中層は見えなくなる);上層を新しいオークリッジチューブに移す(8〜9ml、先を切ったブルーチップを使用)(2)

12,000 ×g、10分間遠心する;上層を 50ml 乾熱済みビーカーに移す(8〜9ml、先を切ったブルーチップを使用);液量を正確に測定すること

DNA 溶液の 1/10 量の 3M 酢酸ナトリウム溶液を加え、穏やかに混合する

DNA 溶液の 2.5 倍量の 100% エタノールを層になるように静かに加え、1分間静置する:火炎滅菌して冷却したガラス棒で DNA を巻きとる(巻き取れない場合は中止する)

巻きとった DNA 繊維をガラス棒ごと 75% エタノールに浸漬し、3分間静置する

DNA 繊維のついたガラス棒を逆さまにして空気中に立て、5分間風乾する

風乾したDNA 繊維をガラス棒ごと適量(ふつうは1〜2ml、DNA 回収量により加減する)の TE に浸漬し、1〜3日間4℃で静置する(溶解するまで)

DNA 試料溶液(吸光度測定・アガロースゲル電気泳動によって品質を確認する)