3.疫病菌集団の変化

ジャガイモ圃場(帯広市)

日本のジャガイモ疫病菌の集団は年々変化している

1980年代には US-1 と JP-1 が日本に存在していたことがわかっています。その後多くの人が疫病菌の調査を行った結果、2007年現在では日本の疫病菌集団の構成はより複雑になっていることがわかりました(現在発表準備中)。

北海道で見つけられた新しい遺伝子型の菌も、3~4年のうちには日本中に広がる例も知られています。

なぜこのような菌の移動がおこるのか、まだはっきりしたことはわかっていませんが風の流れや人、植物体の移動などが影響しているのではないかと考えられています。

日本で分離されたジャガイモ疫病菌の遺伝子型の割合を調べてみると、2001年以降は JP-4 が増加しており、他のものは急速に減少していたことがわかりました。

「なぜ JP-4 の菌がこれほど急激に増加しているのか」その原因を明らかにすることが現在の主要な研究テーマの一つです。
考えられる原因としては、JP-4 が

① ジャガイモに対する病原力が強い
② 他の菌と競争する能力が高い
③ 冬期に畑の中で生存する能力が高い
④ 農薬(殺菌剤)に対する感受性が低い

などがあります。これらの可能性をひとつひとつ検証していきたいと考えています。

菌株の採集にあたっては各地の農業試験場・改良普及センター・農協および関連企業の方々にお世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。