環境昆虫学概論  3回目          10月27月、2005

○ 昆虫の「イモムシ」・「毛虫」型幼虫類が示す形状とそれに対する捕食者の不快感
   「気持ち悪い形状への進化」の可能性   感覚搾取説

○ 遺伝子の共通性と相違点
ショウジョウバエの体節形成遺伝子はヒトにもみられるーーヒトの脊椎で発現する Hox遺伝子群
DrosophilaのHOM-Cと脊椎動物の Hox 遺伝子群 は相同(同じ起源)であることが証明された
ムムム「初期発生」を制御する遺伝子のレベルではヒトもハエもさほど大きな違いはない
    発生が十分進んだ後は、昆虫と哺乳類では異なる遺伝子が働くー 例 「性決定様式」

別の例、マウスのsmall eye突然変異: sey/sey 目がつくられない、sey/+ 目が小さい
ショウジョウバエにもeyeless (ey) 突然変異が知られている。塩基配列を調べると、マウスとショウジョウバエでほぼ同じ遺伝子であることがわかった。哺乳類とハエで、ほぼ同じ遺伝子が目を形成している

昆虫の発生における形態形成遺伝子 (1)~(4)の順番で働く
(1) 体軸の決定ムムビコイドとナノスー母親の遺伝子が作り出す
(2) 背腹軸の決定          母親の遺伝子が作り出す
(3) 分節化(ギャップ遺伝子、ペアルール遺伝子)
(4) 体節の個性化(homeotic gene complex: BX-C, ANT-C)

ビコイドとナノスによって体軸(前後軸)が決まると、次に、背側でDppタンパク質が作られ、逆に腹側ではSpitzタンパク質が作られる。これらも体中央部に向かって濃度勾配が生じる
体の中央部で両タンパク濃度が低くなる。この領域に沿ってdll遺伝子(distall-less)が発現し、脚が作られる時の目印となる
    発生開始のきっかけとして「濃度勾配」の重要性ムム重力による濃度勾配など

○ 節足動物の系統ム近年の成果
昆虫に最も近いグループは、これまで多足類(ムカデ、ヤスデ)と考えられてきたが、甲殻類が最も近いと主張する研究結果が相次いで発表されている。
 甲殻類は、エビ、カニを含むだけではなく、ワラジムシ、ダンゴムシなどの陸上性腐食性の種も含む
こうした陸上性のものが昆虫類の祖先となった可能性がある。昆虫類の翅の起源も、元をたどると甲殻類の脚部の形質と一致する可能性がある(現在では、遺伝子の発現から類縁性をたどることができる)。

○ 双翅目昆虫の後胸とネジレバネの起源に関する議論 
  ネジレバネでは、中胸の前翅が平均棍へ退化し、後胸の後翅が発達する。中胸でUbx遺伝子が
   活性化したとする仮説が提出されている

○ 昆虫の体制の多様性と特徴
昆虫類の祖先は、湿度の高い環境で生活・活動性は高くない
 小型の生物が、湿度の低い環境で自由に活発に生活するには、体制の大きな変更が必要

広範な環境で生活するための必須条件----(1) 水分の保持、(2) 体の強度を高める
  なぜ水分の保持が重要となるのか ---- Scalingに基づく説明
(Scaling----体のサイズが変わるにつれて異なる物理法則に支配される現象)

・小型生物にかかる制約を考える
  体サイズが1/aに変化したとする、
  体表面積 1/a2   体積 1/a3
体からの水分の蒸散量は、(体表面積)に比例する。
  したがって、単位面積あたりの蒸散量は a 倍となる  小型になるほど水辺から離れられない

昆虫では外骨格が水分保持と強度の問題を解決ムム多量のキチン(chitin)(多糖類) 軽くて丈夫

外骨格のために、昆虫の「見かけ上の」節は、祖先の節と位置がずれている 発生上の単位となる節と「見かけ上」の節が分離

・外骨格の構造
  外表皮(セメント層、ワックス層)、原表皮(外原表皮、内原表皮)
    外原表皮に多量のキチンが含まれる
    外原表皮は、キチン繊維が何層にも積み重なっているーいろいろな方向からの力に強い
  脱皮時には、内原表皮が溶かされる  

・外骨格の切片化-- 高度な活動を可能にする
・てこの原理を用いた高度な活動
・昆虫の飛翔の方法
 大型昆虫  独特の翅の動かし方
 小型昆虫  数ミリの昆虫では空気の粘性が問題

背板と腹板-----背側からDpp、腹側からSpitzタンパクが発現

昆虫における脚の発生ム
wg(wingless)遺伝子とdull(distal-less)遺伝子が関与  背側と腹側ではdull の発現は抑えられる

質問とその答 (10月20日, 2005)
【昆虫の体制の進化】
●有爪類や多足類の、昆虫では足になる部分の3節分の足は他の多数の足と何らかの違いはあるのか?
答:全く区別がつきません。昆虫だけに起こった特殊化です。
●触角は元足だと言いますが、環形→有爪への変化の間に足だけ(触角無し)のものが見つかったりはしていないのでしょうか?図を見ると他の足が生えると同時に触角が生えています。
答:触角は突然変異を起こすと確かに脚に変わります(アンテナペディア突然変異)。したがって、触角がかつて脚であった時代があるはずですが、どの祖先までたどれば、脚から触角への変化が押さえられるかまだ未解明です。節足動物の最も祖先型であるウミグモなどを調べてみる必要があるかもしれない。
●触角を1つの節に数える数え方に関して→他の数え方と対立する考え方ですか?研究分野などによって数え方を使い分けたりするものですか?
答:現在では、触角は体節ではなく脚由来と考えられているので、これは1節と数える必要はないです(混乱させてしまいました)。昆虫の頭部は多足類における5つの体節が融合したと考えられます。しかし、多足類の頭部においても、さらにその祖先のいくつかの節が融合していると考えられています。結局、環形動物的祖先を元にして考えると、昆虫の頭部は6-7節が融合していると主張されています。
●同じ節足動物の中でより進化している種類の動物の方が節が不均一なのは、高等になるほど節が不均一になっていくと考えていいのですか?不均一なことでメリットとかはありますか。
答:前の講義では体節が徐々に変化する図を出したので、高等になるほど体節が不均一になると思ったかもしれませんが、実際には「高等」「下等」という概念は捨ててください。現在の進化学では「誤った」概念です。昆虫は高い活動性を必要とする環境で、体節が不均一化したのであって、湿り気の多い環境にとどまり、高い活動性を必要としなかったグループは不均一化する必要はなかったのです。どちらも現在生存していますから、現生種に対して高等、下等を区別するのは誤りです。体節の不均一化は、活動性と密接に結びついています。
●節の大きさというのはどうしてちがいがでてきたのですか?胸部が時に大きいように図では見えますが(昆虫によってちがうかもしれませんが)何か利点があるのですか?
答:多量の筋肉を保持し、支持するために胸部の大型化が必要となります。
●(昆虫類が)有爪類や多足類から分化する過程で、見た目同じの頭部と胸部の境目を分けたのは何だったのか?(多足類や有爪類から進化したという説の場合だが)
答:頭部は硬い食物をかみ砕くための多量の筋肉をうまく収めるために球形に近くなり、胸部は飛翔筋と胸部の筋肉を支えるために大型化したのです。簡単に言えば、食べる機能(硬いものをばりばり食う)と運動する機能(高い活動性)を満たすために頭部と胸部が分化したと言えるでしょう。
●虫の節の間や関節の構造はどうなっているのですか?
答:節と節は節間膜(膜質部分)で結びついている。関節も同じです。膜質部分と硬い部分との差はキチンの量によって決まります。
●多足類のムカデとヤスデの違いは節に足が1本か2本かだと思いますが、節に片方2本の足の昆虫は他にいるのですか? 答:ヤスデは各体節に脚が2対あります。この特徴はヤスデだけです。
●無翅昆虫にはどのようなものがいますか?また、そのすべては不完全変態でしょうか?
●無翅昆虫が思い浮かばないのですが、どんなものがいるのかおしえてください。
答:無翅昆虫はトビムシ、カマアシムシ、コムシ、シミ、ですべては不完全変態です。有翅昆虫のグループは、不完全変態のものと完全変態のものに分かれます。
●口に足ができる個体などは、やはり淘汰されるのですか?
●突然変異して口器に脚が生えた昆虫は正常に生存していけるのですか?
●触角が突然変異によって足になってしまったDrosophilaでは、触角から得られるはずの感覚が無くなってしまうと思うのですが、それでも生存していけるのですか。あと、触角で得られる感覚はどのようなものがありますか。
●ひげが足化してしまった昆虫も普通に生きていると言いましたが、ひげはどのような役割を果たしているのでしょうか。
答:野外では、当然淘汰されます。普通には生きていけません。人為的環境下では「生かすことはできる」という意味です。しかし、こうした不利な遺伝子でも劣性であれば、集団中に維持されるというのが集団遺伝学の教えるところです。触角は匂い成分の感知にかかわる。
●昆虫の口器のひげが脚に変わる突然変異は、口器のひげ以外にも腹から足が生えてくるというような例もあるのか?
答:ないです。腹と脚は相同ではないから
●ゴミムシダマシの頭から足が出ている図がでていましたが、あれは他の種の昆虫でも起こり得るんですよね?また、ゴミムシダマシは名前からするに、ゴミムシではないが似ている部分があるので名付けられたと思うのですが、このように~モドキや~ダマシはどのような分類になるのですか?(科などで)
答:稀ですが、他の昆虫でも起こりえます(アンテナペディア突然変異)。~モドキ、~ダマシはそれぞれ独自のグループです。ゴミムシダマシはゴミムシとは系統関係はぜんぜん近くない。
●アンテナペディアなどの突然変異体は普通のDrosophilaと形態のみが異なるのか?行動などには変化はないのか。
答:匂いを感知できないので、当然行動も変化するでしょう。
●アンテナペディアに関して、同じ遺伝子が全く別の器官形成にはたらくこともあると聞きました。同じ遺伝子が働いているからといって、触角(顎?)が脚から起源した、とは言えないのでは?他に根拠等はあるのでしょうか?
答:論理がよくたどれないのですが、前半の文章は全く正しいです。Drosophila では触角と脚で同じ遺伝子が働いています。ただし触角を形成する場合には、脚を形成する遺伝子に加えて、触角独自の形状を作り出す遺伝子が働いています。後者の遺伝子が突然変異によって機能を失うと、脚の特徴だけが現れるわけです。遺伝子の働きにこのような「階層構造」が見られることから、触覚の祖先的状態が脚の形状であったろうと想像しているのです。これで答になっている?
●アンテナペディアのようになくなってしまったものがでてきて、致死的ではない突然変異の例は他にないですか?図入りで見てみたいです。
答:アンテナペディアのような突然変異は、その性質からして、先祖返り的です。突然変異というものは、多かれ少なかれ、先祖返り的性質を持っています。良い図はなかなか見つかりません。
●体節の形状を決める遺伝子と同じように脚や翅の形状を決める遺伝子も調節遺伝子なんですか?
答:そうです。発生の初期に働く遺伝子は調節遺伝子です。
●エンハンサー配列とは何ですか。
答:分子生物学で習っていない?これから習うのか?ともかく、エンハンサー(enhancer)とは、真核生物DNA上の塩基配列領域を区分する名称で、遺伝子調節蛋白質(転写因子)と結合することで遺伝子の発現の調節にかかわります。プロモーターと対になる。
●遺伝子重複について、BX-Cの遺伝子群の各遺伝子がよく似た塩基配列を持つとありますが、BX-CとANT-Cどうしもよく似た構造をとるのですか。
答:BX-Cに含まれる遺伝子とANT-Cに含まれる遺伝子もお互いよく似ています。元は一つの遺伝子であったためです。
●DrosophilaのBX-C内のiab-2~iab-8までは、iab-2~iab-4をまとめてAbd-A、iab-5~iab-8をまとめてAbd-Bと呼ぶこともあるそうですが、この2つには何か違う点があるのですか?それとも適当に4と5の間で分けてしまったのですか?
答:適当に分けたものではなく、Abd-AとAbd-Bは、それぞれ違う転写単位を持っています。
●物質の濃度勾配というのはどのようにして起こるのですか?均一に拡散していかない物質であるということですか?あと、もしナノスタンパクとビコイドタンパクが混合したらどうなるのですか?
答:特定の部分から形成され、また卵内では自由に物質が拡散していかないので、濃度差が生じます。ナノスタンパクとビコイドタンパクは実際、部分的に混合しているでしょう。何も問題はありません
●「ビコイド」や「ナノス」(という言葉)には「頭」や「尾」みたいな意味があるんですか?
答:そういう意味はないです。ギリシャ語起源 「樽型」と「発育不全」の意味
●ナノスとビコイドによる形態形成はショウジョウバエだけでなく全ての昆虫にある仕組みなのですか?
答:そうです、すべてに共通します。
●ショウジョウバエで2種類のRNA(ナノスmRNAとビコイドmRNA)が存在することで有利な点は何ですか。
答:これは有利不利を議論する問題ではないです。2種類のmRNAがないと、頭部と腹部の分化をうまく引き起こせなかったのでしょう。
●ビコイド、ナノスのしくみは面白いと思いました。昆虫以外の生物ではこの様なしくみは見られないのでしょうか。いつ生じたしくみなのでしょうか。
答:前後軸の決定に関しては、すべての生物に共通です。哺乳類でもナノスmRNAとビコイドmRNAに対応するmRNAが存在しているはずです。
●卵母細胞に、人為的に尾の部分にビコイドmRNAを入れ、頭部にナノスmRNAを入れても、逆になるだけで幼虫は生まれるのか?
答:まず、ナノスmRNAとビコイドmRNAを作り出さない雌のハエを作り、そうしたハエに人為的にナノスmRNAとビコイドmRNAを注入する実験を行えば、前後軸が逆のハエが生まれます(生まれるはずです)
●時々双頭や双尾の生き物が発見されることがありますが、これらの生物も発生時のビコイドやナノスmRNAの異常が元で起きるのですか?
答:ビコイドやナノスの問題ではないと思いますが、原因はよくわかりません。私も、近親交配実験の際に、双尾のアブラムシを孵化させたことがありますが。
●何年か前テレビに、カブトムシだったかクワガタだったか定かではないのですが、一体の昆虫の左半分がオス、右半分がメスというものがでてました。成虫でした。こういったものはどういう原理で生じるのでしょうか。
答:雌雄モザイクという現象です。昆虫の場合はX染色体の数によってオス・メスが決まります。メスになるはずのXX染色体を持った個体において、発生の初期に、ある細胞でXの一本が失われると、その細胞の系譜(子孫細胞)はすべてXが1本だけなので、オスの特徴を発現させます。卵が2分割されたときに一方の細胞で1本のXの逸失が起こると、完全な雌雄モザイクになります。また、昆虫には性ホルモンが存在しないことが、雌雄モザイクを作り出す上での必要条件です。
●虫は卵室をどのくらいもつのか。答:卵数とほぼ同じですから、昆虫の種によって異なります。
●ショウジョウバエはほ乳類ではないのになぜ子宮をもっているのか?
答:もちろん哺乳類の子宮とは何の関係もない(相同形質ではない)。この図の訳はおかしいです。昆虫学者はこのような言い方はしない。
●遺伝子重複によってBithoraxのような個体がうまれてしまうことはないのですか?遺伝子重複が負の効果をもたらすことはないのか?
答:どんな遺伝子でも重複して負の効果を持たないか否かは、よくわかりません。もちろん場合によるとは思います。量的にたくさんの物質が作られた方が有利であるような、そのような物質を支配している遺伝子では重複が有利になると思いますが。
●種A(ATCG)→種B(AACG)→種C(ATCG)とすると、種Cは種Aから進化したと言えるのですか?(同じ遺伝子を持っているのに・・)
答:そうではなくて、この順番が真の順番だとしても(所与の仮定)、塩基配列を見ただけでは、(誤って)AとCが近いように思ってしまうでしょう。われわれは、真の系統を知らず、配列データだけから系統を推測するわけですが、古い時間に分岐したグループでは変化が起こりすぎているために(変化が元へ戻ってしまうことも起こる)、系統関係を知ることが難しくなるのです。塩基は4種類しかないためです。

【遺伝子の共通性】
●遺伝子の話でヒトとショウジョウバエで似たような発現をしているというようなものがありましたが、ショウジョウバエは染色体1本で作られるのに対し、ヒトは4本の染色体の相互作用でつくられているので、ショウジョウバエは突然変異がすぐ、もろに形質の変化としてあらわれてきやすいのではないかなあと思いました。そういう点で比べると、ヒトは変異しにくく、ショウジョウバエは変異しやすいのですか?
答:ヒトの場合の方が、発生は複雑な遺伝的基盤によって支配されていますが、ヒトではどの部分で突然変異が生じても、異常となりうるので、ヒトの方が形質の変化が起こりにくいとは言えないでしょう。
●体節と脊椎は構造がかなり異なるのに同じような構造の遺伝子で制御することができるのが不思議に思った。
湖面と:発生の初期ではさまざまな生物が共通の特徴を持ちます。発生の初期ほど生物は似通っていると言えます。その類似性は働いている遺伝子の類似性です。
●遺伝子の共通性において、ヒトもハエも大きな差はないのでは。ヒトとハエの差はどこにあるのか?
答:発生の初期は確かに似ています。しかし、発生の終わりになると全く異なる遺伝子が発現し始めます。例えば、性に関わるホルモン(およびその遺伝子)は、哺乳類にはあり、昆虫にはありません。

【その他】
●(前回の質問の答に対して)generalistはどのような機構で多数の種の防御機構を打ち破るのですか?
コメント:後の講義で話します。
●昆虫など節足動物は変わってるものが多いですね。以前別の授業で植物の病気を媒介する虫というのがありました。その中には一生保毒になるものもいるそうです。なぜ植物の病気に虫が感染するのでしょうか?虫には免疫機能などはないのでしょうか?
答:ウイルスを体内で保持するアブラムシなどの例だと思いますが、ムシはウイルスを保持しているだけで感染しているわけではありません。
●昆虫はいつ頃現れたんですか?フンコロガシという虫がいますが、恐竜が生きていた時代にもそれに近い虫はいたんですか?大型の恐竜だと、糞の量もそれなりに多くて、それを処理する虫も大きかったのか?それとも、処理できる虫がいなくて、あたり一面糞だらけだったのか?と思うんですけど・・。そもそもフンコロガシは糞を食べるんですか?
答:デボン紀(4億年前)に最も初期の化石がみられます。石炭紀(3億年前)になると大型トンボMeganeuraが飛んでいたことが知られています。恐竜の糞を利用していたのは甲虫のフンコロガシではないでしょう。別の節足動物が分解していたに違いありません。全く未知ですが。
●昆虫は海に進出しないのでしょうか。
答:海に進出したものはほとんどいませんが、ウミアメンボという、海にだけ適応したアメンボがいる。私がかつてマレーシアの西海岸の海で泳いでいたときに、目の前をウミアメンボが通り過ぎるのを見て感動しました。
●ユキムシの雪のように見える白い綿のようなものは何なのですか?
答:今分析中ですが、飽和炭化水素です。
●高校のとき生物の先生が「ユキムシの羽はロウのようなものでできてるので手にとると羽の表面が溶ける」と言っていたのですが、本当ですか?
答:溶けはしませんが、こな状になってしまいます。
●夕方のNHKのニュースに「ユキムシ」の話ででてきたのは先生でしたか?びっくりしました。
答:ええ、まあ、そうですね
●カメムシが臭いのは特定のガスを出しているからか、それとも分泌物を出しているからか。そしてどこから出ているのでしょう?
答:分泌物を腹部から出します。捕食者よけだと考えられます。
●アメリカシロヒトリ(アメヒト)はなぜ突然大発生するのか?
答:今でも大発生しますか?北米からの侵入昆虫で、天敵が少ないためでしょう。
●特に夏に多いんですが、蚊ではないが蚊のような小さな虫が、ある空間同じ場所で数十匹がぶーんと飛んでいるのをよく見かけます。チャリに乗っているとちょうど顔の辺りにいるヤツです。あれは一体何なんですか?
答:ユスリカです。群飛(スワーミング)行動と言います。飛んでいるのはオスで、群飛の中にメスが飛び込んでくる。
●蛾と蝶の違いを教えてください。
答:生物学的に蛾と蝶を区別する根拠はないです。この区別は文化によるものです。系統的にチョウは一つの群にまとまるようですが。
●ゲジゲジとはいったい何なのか?
答:多足類、唇脚綱でムカデの仲間です。
●Drosophilaを飼育するときの餌は何ですか?
答:いろいろありますが、寒天にイースト、ブドウ糖を混ぜたもの。イーストが重要。
●ゴキブリは何を食べているのですか?昔TVでせっけんや口紅も食べるとか言っていた気が・・
答:動物質、植物質のもの何でも食べる。子供の頃の話しだが、水彩絵の具を食べたゴキブリがいたらしく、つぶしたらたいへんきれいだったのを思い出しました。
●昆虫ではないのですが、ムカデというのは軽くふれただけでもさされるのですか?
答:ムカデは刺しますよ
●この前登山をしたとき、下山中ずっとアブにつきまとわれました。おそらくアカウシアブというアブだと思うのですが、よい対処法があったら教えてください。 コメント:うーん、網で捕まえる。
●あまり関係のない事ですが、最近話題の外来生物の問題について、昆虫ブームの現状をふまえ、先生の意見を聞いてみたいと思います。答:簡単に言えば、移入禁止が必要です。
●私は蚕系の虫が非常に苦手なのでプリントに図をのせないで下さい。
コメント:ムシはなぜ気持ち悪いのかについて話します。これも適応だろうと思います。

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