福士江里氏日本化学会第33回化学技術有功賞

福士江里氏が「微量試料に関するNMR測定法の改良と実践的な構造解析法の考案と普及」で2014(平成26)年度日本化学会第33回化学技術有功賞を受賞し、平成27年3月28日に日本大学理工学部 船橋キャンパスにて授賞式が行われました。

授賞式

業績の概要は以下の通りです。

福士江里氏は、30年来大学内の共通分析施設において核磁気共鳴(NMR)と質量分析(MS)の受託分析に従事してきた。ルーチンNMR法では困難な問題を解決するため、論文発表された新規測定法の使用、目的にあわせたプログラムの編集、測定法の開発などを通して、研究者のニーズに応えた測定をおこなってきた。これらの成果は学会やMagn. Res. Chem.などの学術誌に発表するほか、受託分析項目に加え、以降の構造解析を支援してきた。MS測定では、無極性化合物や難溶性化合物も測定可能な電界脱離イオン化(FD)-MSに注力し、イオン化に用いるエミッターを自作し、通常のイオン化法では脱離しやすい保護基を持つ合成中間体や、芳香環に富む難揮発性化合物の分子量および精密質量測定を行なってきた。

氏はMSとNMRの兼務であることから、その両者の特徴を生かしながら測定法を選択し構造解析を進めるよう、研究者の相談に応じてきた。そうした過程で、構造解析上問題になりやすい事項を蓄積・整理し、広くWebサイトを通じて情報発信するほか、学内外の研究者、学生、技術者の集う場で講演し、より良い測定が広く行われるよう尽力してきた。また、構造解析の基本手順を豊富な実スペクトルを用いて演習形式で行う講義を学内外で実施して好評を得てきた。これらの内容の一部は、構造解析の指針や解析法を質問・回答形式でまとめた入門書、および研究者が測定を行う際に遭遇する問題点と解決法を解説した書籍として出版された。

業績の詳細は日本化学会誌「化学と工業」68(3),253 (2015) に掲載されました。


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