城田徹央(しろたてつおう;SHIROTA,Tetsuoh) †
自己紹介 †
- 人・自然・地球共生プロジェクトの研究員として
シベリアの炭素固定機能評価に携わっています。
関心と研究テーマ †
- 森林の3次元空間構造
- 樹木の相互作用による空間構造の自律形成
- 樹木のかたちと生活史
現在の調査地 †
- スパスカヤパッド研究林(ロシア連邦サハ共和国ヤクーツク近郊,N62E129)
- 東シベリアの永久凍土が連続的に分布する地域です。
カラマツを主体とする「明るいタイガ」が形成されて
います。この明るさは落葉する針葉樹ということだけでなく、
カラマツ林冠がうっぺいしないことに起因しています。
- 若いカラマツ林はほぼ同齢の純林またはシラカンバとの混交林を作ります。
シラカンバは寿命が短いので、いずれの場合も、カラマツの純林へと変遷します。
地表火によって一部の個体は間引かれ、そこでカラマツが集団更新するため、
成熟したカラマツ林は異齢林へと移り変わります。私たちが研究をしているスパスカヤパッド研究林は
このような成熟した異齢林です。
- 成熟林の古いカラマツは200年から400年といわれます。最大樹高が20数
メートルと限定された高さであり、この高さには120年程度で達することができます。
ですから、年老いた林冠個体は、上部へと樹冠を拡張しているわけではありません。
しかしそれでも直径が大きな個体ほど、たくさんの葉をつけるというアロメトリー関係が
見出されています。
- 樹高成長が制約されたカラマツは、どうやって新しい葉をつけているので
しょうか?まずカラマツのシュートは短枝と長枝に分化しています。
私は大きな個体の大きな枝では短枝の割合が増える傾向を見出しました
(ただしサンプル数が少なかったので、このことはもう一度計測して確かめる予定です)。
短枝の割合を増やすことで、樹冠拡張から樹冠維持の生き方に方向転換できます。
同じ枝の上で短枝を連年更新していけば、樹冠の形を変えなくても一定の葉の量を維持できるということです。
- しかし、それだけでは葉を増やすことはできません。若い個体から年老いた個体まで、樹冠の形を比べていくと、
横広がりに樹冠が潰れてきていることがわかりました。樹高成長が限界に近づくとともに頂部支配がくずれた結果として、
横への成長が促進されてきたのでしょう。このように年とともに丸くなるカラマツ樹冠は、横へ横へと葉をつける空間を拡張することで、より多くの葉をつけることが可能にしています
- ただし、この横への拡張はとても緩慢としたものだと考えられます。なぜならば樹高が限界に近づくにつれて
を
樹冠を横方向へ樹冠を展開して、新しい葉をつけています。
またそれだけではなくて、樹冠内側の短枝を長枝へ作り直して、樹冠内にも葉をつけていくのです。
丸くなっていきます。
長い間にわたって葉を維持するために、
短枝を長枝へと作り変えながら枝の再生事業を行っています。
連絡先 †