[[研究紹介]]
 * 植物個体群動態学 [#m5c8afcf]
 植物個体群は様々な環境条件、あるいは個体間の競争にさらされ、
 植物個体群は様々な環境条件、あるいは個体間の競争にさらされ、その姿を変えていきます。その、個体群動態がもたらされる要因を明らかにすることは、森林管理を行ううえで重要な情報です。本研究室では、多様な森林生態系において、動態をもたらす要因を検討しています。
 
 ** 北海道の針葉樹天然林の動態 [#g68262f7]
 北海道にはエゾマツ('''Picea jezoensis''')やトドマツ('''Abies sachalinensis''')を主体とする、広大な針葉樹天然林が存在しています。この針葉樹天然林は、
 北海道にはエゾマツ('''Picea jezoensis''')やトドマツ('''Abies sachalinensis''')を主体とする、広大な針葉樹天然林が存在しています。この針葉樹天然林は、エゾマツの優良大径木を供給し、又生物多様性を保全する上で重要な役割を果たしています。しかし、
 - 過度の伐採
 - 十分な保育が行われなかったこと
 - 特にエゾマツは、天然林において更新可能な条件が制限されていること
 
 から、近年、針葉樹天然林において新規個体の更新が不良であり、更新メカニズムを解明することが急務となっています。
 
 そのため、本研究室では、エゾマツとトドマツを対象に、両樹種がどのような条件の下で更新が可能なのかを明らかにするための研究を行っています。
 
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 ** 北海道の落葉広葉樹林の動態 [#j9562522]
 本研究室では、1954年に発生した、洞爺丸台風による風害を受けた落葉広葉樹林の動態を、風害発生直後から継続して調査しています。
 本研究室では、1954年に発生した、洞爺丸台風による風害を受けた落葉広葉樹林の動態を、風害発生直後から継続して調査しています。風害後の林分の回復過程を明らかにすることで、北海道では頻度が低い、大規模攪乱が森林動態に与える影響を明らかにすることができると考えられます。
 
 近年、森林の発達過程を明らかにするためには、長期的研究が重要であることが認識されるようになってきました。
 
 1990年代に入ってからは林分動態の継続研究も数多く見られますが、まだ継続年数の少ない研究が多く、数十年規模の研究は少ないです。また撹乱レジームや個々の樹種特性、初期更新動態は明らかになりつつありますが、林分や個体群毎の胸高直径や胸高断面積の成長量、枯死量、進界量といった、より詳細な林分構造の動態を解明するために必要なデータは、まだ不足しています。
 
 こうした中で、本研究室では、苫小牧研究林の落葉広葉樹林での風害後50年目の継続調査を行いましたが、このデータは50年間の動態を個体レベルで追っており、詳細な林分構造の解明が可能であるという点で大変貴重です。撹乱後の個体群の成長様式が明らかになることで、広葉樹林の林分発達過程の一端が明らかになるといえるでしょう。
 
 下の写真は1954年の洞爺丸台風による撹乱を受けた直後の苫小牧研究林(左)と、2004年の風害後50年が経過した苫小牧研究林(右)です。
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 なお、本研究の一部は、日本森林学会で発表しました(保存してご覧ください)。近々、投稿論文として発表する予定です。
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 ** 針葉樹林から針広混交林へ [#b62f163b]
 近年、林業の停滞から、各地で針葉樹人工林が放置され、問題となっています。こうした針葉樹林に対し、広葉樹を侵入させることで、単に木材生産だけでなく、生物多様性の保全といった多面的な機能を発揮させる管理が盛んになっています。
 
 このような針広混交林への誘導を行ううえでは、どのような条件の下で広葉樹種が針葉樹林に侵入するのかを明らかにすることが必要不可欠です。そのため、本研究室では、北海道で主要な針葉樹人工林である、カラマツ林やとど待つ林への広葉樹の侵入過程を研究してきました。
 このような針広混交林への誘導を行ううえでは、どのような条件の下で広葉樹種が針葉樹林に侵入するのかを明らかにすることが必要不可欠です。そのため、本研究室では、北海道で主要な針葉樹人工林である、カラマツ林やトドマツ林への広葉樹の侵入過程を研究してきました。

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研究紹介/植物個体群動態学 のバックアップ差分(No.2)