当研究室の歴史は古く、その起源は戦前に遡ります。札幌農 学校の時代（1899年−1905年）には、既に学科目として「林産製造学」が講義されていましたが、東北帝国大学農科大学時代（1907年−1917 年）の1911年に設置された林学第三講座（森林利用学講座）にこの講義の担当が受け継がれていきました。新たに1921（大正11）年、北海道帝国大學 農学部林学科に森林工学講座が設置され、影山純介助教授と根来簡二助教授による教育研究体制が確立されるに至って、独立した研究室としての形式が成立しま した。以後、林産物の利用に関する教育と研究を、当時の林学第三講座と共に担うことになりました。林学第三講座と森林工学講座とはその後も研究面や人事面 で密接な連携を持つことになります。
戦後、この2つの研究室が母体となって北海道大学農学部林 産学科の設立に至りますが、その過程で、森林工学講座は名称を林産製造学講座と変えます（初代教授：福山伍郎）。以後、林産物の化学的利用および木材の保 存・加工処理についての化学的部門に関する基礎および応用分野の諸問題を扱う研究室として、数多くの卒業生を世に送り出してきました。その後、数回の改組 を経ましたが、樹木成分の化学分析等の基礎的な研究から森林資源の有効利用法の構築といった応用的な研究まで、幅広い研究対象を持つ研究室としての伝統 は、今日の森林化学研究室にも受け継がれています。
［注］参考資料： 北海道大学編著『北大百年史（部局史）』、p.930-937（林学科）、p.937-941（林産学科）、p.957-960（林学実科・農林専門部林学科）、1004-1014（年表）、ぎょうせい、東京（1980）