荒廃地の植生を支えるアーバスキュラー菌根菌

—火山性荒廃地:鹿児島県桜島— (2013)

 今年も(株)国土防災技術(田中さん、佐藤さん)との共同研究・調査で行ってきました。今回の目的は、浸食の激しい傾斜地から撹乱に強い?と予想される菌株を分離することと、国土防災技術が現地で行う試験のプロット設計/設置。

 *桜島の概要については、2012年のページを参照のこと。

 昨年にも増して噴火活動が活発化しているので、ヘルメット、ゴーグル、マスクは必携。また、カメラは防塵・防水構造のものを携行(昨年は灰をかぶって学生のカメラが壊れた)。背景は航空緑化が成功した斜面。限界植生帯付近での主な植生はススキで、浸食抑制効果に対する期待は大きい。

SKJ4

河原(右端)、工藤(左から二人目)に加え、佐藤(左端)が参加した新ユニット。

 ススキが降灰による埋没に強い理由は、その根系構造にあると思われる。根を掘り取ると、現在の根茎(rhizome, 黄色矢印)の下に過去の根茎(ピンク矢印)が残っている。この構造から、埋没するたびに根茎に蓄えた養分を使って地上に這い出し、そこに新たな根茎を形成していた、という適応機構が予想される(上図)。

 このようなススキと共生しているアーバスキュラー菌根菌も降灰と降雨による浸食に常に晒されているため、特に浸食(菌糸切断)に強い性質のものが優占していると予想している。

大正火口は標高500m程度とさほど高くなく、かつ平坦であるものの、植生がほとんど定着していない。窪地であるために火山ガスが滞留することが原因か?(佐藤氏@国土防災談)。

上段は菌根菌散布試験のプロット設置。航空散播を想定しての試験。 中段は客土パック試験。この中に土壌と種子、菌根菌の胞子を入れて、空から落とす。下段は菌根菌分離用の土壌サンプルの採取。

作業中にも何度か大きな噴火がありました。衝撃波は鹿児島市内まで届いて窓ガラスを揺らします。

先生、そこから先には行けないと思います。

バーカ、行けるよ。

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ミシッ、バキバキ、バッコーン! こんにちはーっ 岩子でぇす♡