私たちの研究室ではアブラナ科の一年生植物であるシロイヌナズナを用いて,何か興味深い生命現象に注目してそれに係わる遺伝子発現制御の研究をしています。現在は、主に以下の3つのテーマについて日々研究を進めています。
リボソームは,mRNAを翻訳してタンパク質を合成する装置ですが,単なる翻訳のみを行っているのではなく,細胞内の状態を検知して,翻訳を停止し,さらには翻訳中のmRNAを分解することさえある知的な装置です。植物におけるメチオニン生合成の鍵段階を触媒する酵素は,こうしたリボソームの新機能によってフィードバック制御されています。私たちは,その分子機構の解明と応用を目指して研究しています。
真核生物のmRNAにはタンパク質をコードするORFは1つしかありませんが、5′非翻訳領域にuORF(upstream ORF)と呼ばれる短いORFが存在する場合があります。そのようなuORFが下流のORFの翻訳効率に影響を与え、タンパク質合成量の調節に関わる例が知られています。私達のグループでは、その中でuORFにコードされるペプチドが関与する新しいタイプの遺伝子発現制御機構の解明を目指しています。