基礎生物学II (農41組 担当:秋元)平成19年度 定期試験問題    2.1.08
                               
問1 以下の生物学の用語を、実例を挙げながら説明せよ
a) 共優性、b) 生殖的隔離機構、c) 同所的種分化、d) 適応放散、e) 偽遺伝子、f) 側系統群

問2 生物は、大きく3つのグループ(古細菌、細菌、真核生物)に分類できる
a) 細菌と真核生物のそれぞれの特徴について述べよ。
b) 古細菌に含まれる主なグループの名称2つとそれらの生息環境について述べよ
c) 真核生物を大きく4つのグループに分けた場合、一般にはどのように分類されるか。それぞれのグループ名と、そこに含まれる代表的な生物名1つを記せ。
d) ウイルスの位置づけについて述べよ

問3 哺乳類の性染色体は、メスでXX、オスでXYである。Y染色体はX染色体と比べて小型であり、減数分裂時にX染色体とは(先端のごく一部を除いて)対になれない。
a) Y染色体には、わずかな数の遺伝子しか含まれていない。これはどのように説明されているか? 知るところを述べよ。
b) 哺乳類のオスはX染色体を1本だけ持つことから、不利な影響が生じている。具体的な影響について述べ、なぜそのような結果が生じるのかを説明せよ。
c) 哺乳類のメスはX染色体を2本持つが、他の生物には見られない独特の遺伝子発現様式が知られている。どのように呼ばれる現象か? また、その現象を具体的に説明せよ。

問4 被子植物の花は繁殖のための器官であるが、種によって花の構造に大きな相違が見いだされる。
a) 一つの花にオス器官とメス器官が同居する構造の花を a と呼び、一つの花にオス器官かあるいはメス器官のいずれか一方が見られる花を b と呼ぶ。a, bに適切な語を入れよ。
b) 個体に注目すると、1個体はオス器官かメス器官のいずれかしか持たない場合と、1個体がオス器官とメス器官の両方を持つ場合とに分かれる。後者を何と呼ぶか答えよ。また、後者は植物に広く見られるが、こうした性表現の有利な点と不利な点について述べよ。
c) 被子植物は受精に際して重複受精を行う。重複受精がどのように起こるかを、下記の用語を適切に用いて説明せよ。ム花粉管、精核、胚珠、卵核、極核、胚、胚乳
d) 自家不和合性を示す植物が知られている。自家不和合性を支配するS遺伝子座では、遺伝子型は必ずヘテロ接合体である。例えば、S1S2の組合せを示す遺伝子型の個体では、S1あるいはS2の対立遺伝子を持つ花粉がその個体の柱頭に付着しても、花粉管を延ばすことが出来ない。逆に、これ以外の対立遺伝子を持つ花粉が付着すれば、この個体の胚を受精させられる。S遺伝子座では、きわめて多くの対立遺伝子が集団中に保たれていることが知られている。なぜ対立遺伝子の多様性が維持されるのかを説明せよ。
e) 上記の自家不和合性を示す種では、集団サイズが縮小し、ボトルネック効果が生じると、絶滅確率が高まることが知られている。なぜそうなるのかを考察せよ。

問5 ある集団の1つの遺伝子座を調べたところ、この遺伝子座にはAとaの対立遺伝子が見られた。3つの遺伝子型AA, Aa, aaについて以下の設問に答えよ。
a) この集団では、各遺伝子型をもつ個体数は以下のようであった。対立遺伝子Aとaの遺伝子頻度を求めよ。

遺伝子型 個体数(観察値)
AA    140
Aa     40
aa     20

b) 上記の集団に対して、ハーディ・ワインベルク平衡から期待される各遺伝子型の個体数を求めよ。ただし、総個体数は、上の表と同数とする。
c) この遺伝子座は進化的に中立と仮定し、また、この集団は他の集団から隔離されてきたと仮定する。上記の観察値が生じたのは、どのような要因によるものか? 可能性を列挙せよ。

問6 昆虫や爬虫類など卵生の動物では単為生殖が知られているが、哺乳類では通常単為生殖が生じない。なぜ哺乳類では単為生殖が生じないのかを、遺伝子のメチル化の観点から説明せよ。

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結果 90分の試験時間では、問題量が多すぎた。しかし、この試験で92点を取った人はすごい(17点もすごいが)。


最大値           92.000
中央値(メディアン)    55.500
最小値           17.000

平均             55
標準偏差           19.17667
N              48