基礎遺伝学      試験問題(秋元)       7月26日、2010年
試験時間 13:00~14:00 (13:30より退室可)

問1 自然選択の働きについて、以下の問に答えよ
a) 自然選択が働くための基本的な3つの条件を述べよ。
b) 有害で劣性な対立遺伝子をaとする。集団中でのaの頻度は、世代とともにどのように変化するか?時間的変化の様子をグラフに描け。この際、集団のサイズはきわめて大きいと仮定し、縦軸をaの頻度とし、横軸を世代とせよ。
c) 量的形質に働く自然選択を3つのタイプに分けたとき、それぞれの名称と結果について述べよ。
d) ヘテロ超優性とは、どのような現象を指すか簡潔に説明せよ。

問2 ある遺伝子座の2つの対立遺伝子A1とA2に関して、どちらが優性で、どちらが劣性かを判別する方法について述べよ。

問3 分子レベルでは、中立的な変異が頻繁に生じている。具体的に、どのような変化が中立と見なされるか説明せよ。説明の際、以下の用語を用いること:
コドン、同義置換、エクソン、イントロン、アミノ酸配列、ヘモグロビンα鎖

問4 作物や動物の品種改良に関して、以下の問に答えよ。
a) 集団中で起こる突然変異だけでは得られないような大きな変異を作り出し、そうした変異に基づいて好ましい形質を選抜する方法を何と呼ぶか?
b) 戻し交配 (backcross) とは、どのような交配様式かを簡潔に説明せよ。
c) 雑種強勢について簡潔に説明せよ。

問5 近親交配が行われた場合に、一般にその子孫に有害な結果が生じる(近交弱勢)。ところが、通常、近親交配が主要な交配様式となっている植物や動物も数多い。なぜ近親交配だけで、集団が存続できるのか説明せよ。

問6 ある生物集団の1つの遺伝子座を調べたところ、この遺伝子座にはAとaの対立遺伝子が見られた。3つの遺伝子型AA, Aa, aaについて以下の設問に答えよ。
a) この集団では、各遺伝子型をもつ個体数は以下のようであった。対立遺伝子Aとaの遺伝子頻度を求めよ。


遺伝子型   個体数(観察値)
AA    140
Aa   40
aa   20

b) 上記の集団に対して、ハーディ・ワインベルク平衡から期待される各遺伝子型の個体数を求めよ。ただし、総個体数は、上の表と同数とする。
c) この遺伝子座は進化的に中立と仮定し、また、この集団は他の集団から隔離されてきたと仮定する。上記の観察値が生じたのは、どのような要因によるものかを1語で答え、その理由を述べよ。