加藤 克(Masaru KATO)

 

研究テーマ:開拓使・札幌農学校・北海道農学部博物館史、博物館所蔵資料史、資料情報

 

主たる関心:札幌農学校所属博物館(現在の植物園・博物館)は、1877(明治10)年に開拓使によって設立された札幌仮博物場を起源としており、120年以上の歴史 を有しています。それゆえ、現在では絶滅してしまったエゾオオカミや北海道産のトキなど収集することができない標本・資料が所蔵されています。また、開拓使が作製した北海道の樹木材鑑標本(内国勧業博覧会や万国博覧会に出品されたもの)や開拓使官営工場で製作された資料、明治期の考古資料やアイヌ民族資料 も数多く所蔵されています。さらに、札幌農学校以来連綿と行われてきた大学における研究の結果集積された動物学資料・考古学資料・民族学資料、文献・写真など、現在も重要資料として位置づけられているものが多数存在します。

 これらの資料群は、開拓使や札幌農学校の創設期にかかわった欧米人教師たちの影響を受けたおかげで、陳列品・見世物という位置づけではなく、収集地や収集時期など、後に研究・教育資料として利用するために必要な基本的情報が付属しているという点で、重要なものとなっています。

 

 しかし、これらの資料にも問題がまったくないわけではありません。

 

 1.明治・大正・昭和・平成と年月を経たために、失われたり混乱した情報がかなり存在することが見受けられます

 2.博物館が博物館の標本・資料として収集したものとは別に、北海道大学の教官・学生として研究に利用するために収集したものが多数含まれており、これらはその収集者の意図に基づいた情報しか付属していないことがあり、現在の私たちが利用したいと思う情報が付属していないことがあります

 

 これらの問題をできる限り解決して、120年の歴史を生き続けてきた資料・標本に対して、失われたり、附属していなかった情報を付け加え、また最新の知見・研究から得られた情報をも追加して、より重要な資料・標本にすることを主要な研究目的としています。

 

 扱う分野は博物館が所蔵する資料群全てで、動植物・考古・民族・歴史・絵画 etc......と非常に幅広くなっています。扱う資料によって研究手法も変化し、資料そのものの調査・付属する標本ラベルの調査・古い時代の標本台帳・古文書・研究者のノートや書簡など様々な素材・道具を駆使して資料の潜在 能力を最大限発揮させるようにしています。 

 これらの調査の基盤、また時には調査の結果明らかとなる札幌農学校所属博物館の標本管理史を中心とする博物館史、標本を収集した研究者の歴史などについても研究しています。

 

論文など北海道大学研究者データベースを参照して下さい

一般誌・コラムなど: 

・ヴィジュアル 生物学者小伝(6)近代生物学に貢献した動物採集家 折居彪二郎 / モーリー. (11) [2004.12]

・北大総合博物館に期待するもの / 北海道大学総合博物館ニュース. (9)[2004.7]

・ヴィジュアル 生物学者小伝(5)ブラキストン線の提唱者 ブラキストン / モーリー. (10) [2004.7]

・エゾオオカミの見つめる北大 / 北大の125年[2001.3]