沿革

---

【博物館のなりたち】

 旧北海道大学農学部博物館(現北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園博物資料展示施設)の歴史は開拓使が1877(明治10)年に札幌偕楽園内に設立した開拓使札幌仮博物場(現在の札幌市北区北7条西7丁目、清華亭付近)に始まり、これが北海道の博物館の歴史の始まりでもあります。その後、仮博物場の陳列場が狭くなったこともあり1882(明治15)年に札幌牧羊場内に建てられた札幌博物場が現在の博物館の建物です。1884(明治17)年に農商務省北海道事業管理局から札幌農学校(現在の北海道大学)に移管され、今日に至っています。当時は自然史、民族、考古学のほか物産品や産業資料を含む総合博物館として一般公開していました。
 2001年より4月より旧北海道大学農学部附属植物園と統合し、生きた植物の展示・植物学資料の管理をふくむ、複合的な博物館として活動を開始することとなりました。

---

札幌博物場正面図(明治15年)

---

【年表】

1877(明治10)年

開拓使札幌仮博物場の設立

1882(明治15)年6月

札幌博物場の設立

1882(明治15)年7月

札幌博物場を農商務省博物局に移管

1883(明治16)年3月

札幌博物場を農商務省北海道事業管理局札幌農業事務所に移管

1884(明治17)年7月

札幌博物場を札幌農学校に移管

1886(明治19)年3月

札幌農学校博物場(博物標本室)を付属博物場に合併


札幌農学校の変遷とともに名称の変更

1907(明治40)年 9月

東北帝国大学農科大学付属

1918(大正 7)年 4月

北海道帝国大学農学部付属

1947(昭和22)年11月

北海道大学農学部付属

1962(昭和37)年10月

北海道よりジョン・バチェラー博士旧住宅が寄贈され、園内に移築
民族資料を展示・公開
(1985年まで)

1988(昭和63)年 4月

北方民族資料室設立、民族資料を展示・公開

2001(平成13)年4月  北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園として活動開始

---

【博物館施設の現在】

 当博物館施設の理念は、明治43年(1910)に発行された『札幌博物館案内』に記されている「本博物館は大學の學生々徒の研究を以てその本旨とするは無論の事なれども、又一面には普通教育と社会教育とに資するはその目的たること明なり」に集約されます。この理念に基づき、現在は北海道大学内の教官・学生の研究材料として、また学外の研究者だけでなく文化継承などを目的とする一般の人々にも広く活用されています。また、他博物館の特別展にも多くの標本を貸し出しており、活用されています。

そのほか、世界の共有財産である博物館の標本を今後も維持・活用する人材を養成することを目的として、各大学から学芸員実習の学生を受け入れています。

 標本は動物(哺乳類・鳥類ほか)・民族(アイヌ・ウィルタほか)・考古・岩石および鉱石・絵画資料など多分野にわたっており、今後さまざまな研究に活用されるために収蔵・調査・整理・修復されつづけています