「ぶんせきの友」FAQ & Tips GC-MS & NMR Lab.

マイクロチューブに少量の試料を移す

以下の操作に移る前までにできるだけ容量の小さく先の尖った容器に濃縮しておきます。たとえばスピッツ、10ml以下のヘルツなど。

微量試料を小型試料管(5mmφ50mm長)やエッペンへ濃縮するには遠心濃縮機が便利です。これだと濃縮された試料が目にみえなくても、少なくとも試料容器の下の方に集まっていることが分かっていますからその後のサンプルハンドリングに有利となります。

遠心濃縮機がない場合は、濃縮したい溶液を入れた小型試験管やエッペン(蓋は切り離します)を、ロータリーエバポレーターにつける試験管や遠沈管の中に入れて回します。一度に全量は無理ですので、一部を濃縮して液量が減ったら溶液を足して、を繰り返します。また上記のスピッツやヘルツをリンスした液を足します。試験管や遠沈管の中は減圧になり中の試料管やエッペンに熱が伝わりにくくなりますので、湯浴の温度は高めにしても大丈夫です。同じ温度だと濃縮に時間がかかります。この方法は容器のかなり上の方まで試料が広がってしまう欠点があります。突沸の危険もあります。エバポレーターのアダプターの下(サンプルのある側)にグラスフィルターをつけたものをガラス業者に作ってもらうとよいでしょう。これなら突沸しても試料の広がりはそのフィルターまでですみます。

エッペンのふたを切り落として使う場合、ふたのついていた部分が出っ張ったままだとロータローエバポレーターで回転させるときにひっかかり、その衝撃で突沸しやすくなる。ふたを切り落とした後はきれいに丸めておく。

補足〜溶媒系と容器の素材

ガラス容器で水系溶液を扱うとガラスからNaやKが溶け出して、とくにMSスペクトル測定の妨害となることがよく知られています。脱塩後の試料はエッペンに受け、以降はガラスに触れさせないようにします。

ピペットも同様です。ガラスのパスツールではなくてピペットマンのチップ(ピペットマンが無ければ駒込をつけて)を使った方が良いでしょう。ガラスは水溶液がべったりと広がってしまいますが、エッペンやチップは水をはじくので、器壁に試料が残る量を減らす効果もあります。


←目次