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「FD-MS日記」

下記の続きはブログ「FD-MS日記」で継続します。(2013.4.1)

2010年11月24日
〜別の成分かそれともフラグメントか〜
手っ取り早い図解

FDのスペクトルに2つのピークがある場合、それらが2つの異なる化合物に由来するものなのか、同じ化合物に由来するものなのかを概ね予想することができます。合成であれば、原料や副産物が混じっているのか、ただフラグメントが見えているだけなのか、気になった際には測定者に申し付けてください。 FDでは、測定中に試料を加熱していきます。したがって、揮発性の高い化合物が先に、揮発性の低い化合物が後に出ます。フラグメンテーションなどの反応を経たイオンは、もとのイオンとほぼ同じタイミングで出ますが、わずかに後寄りになります。

ケルセチン(フラボノイド)の配糖体であるルチンはFDでもm/z 302のフラグメントイオンが生じます。ケルセチンの分子イオンのm/zも同じく302なので、スペクトルのみからはm/z 302のイオンがルチン由来なのかケルセチン由来なのかわかりません。しかし、イオンが出たタイミングをマスクロマトグラムで見ることで判断することができます。

ルチン(m/z 611がプロトン付加分子 m/z 302はフラグメントイオン)

ケルセチン(m/z 302が分子イオン)

ルチンとケルセチンの混合物


2010年11月4日
エミッター作成機のクリーニングが終わり、無事にエミッターが出来上がりました。 クリーニング前よりも出来栄えがいいです。 安定してエミッターが供給されるようになったら、データ取りを再開しようと思います。


2010年8月20日
ポリスチレン5200の測定について8月6日の日記に書きました。 そのときはイオン源、エミッターとも最良の条件で測定することで、やっとのことでピークが出ました。 その後、試行錯誤した結果、弱いながらも安定してピークが得られるようになりました。 ポリスチレン5200だけを測定する際はエミッターが白くなるほど多く塗布する必要がありますが、ポリスチレン600を混ぜると比較的少ない量でピークが得られます。 高質量域のイオン強度は8月6日のスペクトルと大差ないですが、今回の測定は3日前から塩添加やポリマーの測定に使っていたエミッターで、また、イオン源も3日前から洗浄していない状態で行ったものです。 翌日、イオン源の洗浄をしたところ、過去1,2を争うほどの汚れでした。カソードも表は黒く、裏は白く汚れていました。

ポリスチレン5200+ポリスチレン600

カソード(黒いのが汚れ)


2010年8月17日
保守点検があったので、キャリブレーションをやり直しました。 800用はサービスマンがやってくれました(EIでPFK)。
1600用には、FDでPFKを測定していましたが、今回はポリスチレンを測定しました。理学部の方からいただいたもので、900、9000、30000の混じりです。
3200用には同じくいただきもののポリスチレン370、2500、13000、50000、100000の混じりを測定しました。
6400用にはポリスチレン3700を測定しました。 4月27日の日記でポリスチレン3700のスペクトルを載せましたが、今回は感度が向上した良いスペクトルが得られました。ポリスチレン5200を混ぜて、より広範囲に適用できるようにしたいです。

ポリスチレン3700(上は今回のもの、下は以前のもの)


2010年8月12日
普段FDの測定に使っているAccuTOFの保守点検がありました。300付近にバックグラウンドのピークがあるのが気になっていたのですが、除去できませんでした。洗浄してもなくならないので、グリースが原因かもしれません。

原因究明の一環でいろいろなエミッターを使いました。同じ量のアセトンを流したときエミッターによってイオン強度が2桁も変わりました。FDにとってエミッターが肝心だということを再認識しました。


2010年8月6日
精密質量測定の標準物質として使うために、ポリスチレン5200を購入しました。 しかし、高質量領域のピークは出にくく、なかなかうまくいきません。 イオン源を洗浄し、チャンバーを加熱して、新品のエミッターを使うとなんとか測定できます。今の時点で得られているスペクトルはこのような感じです。

ポリスチレン5200


2010年5月17日
FD, SuperPFKで1600までキャリブレーションし、1600と800までの測定にこれを適用するようにします。


2010年5月12日
イオン源の修理をしました。 これ以降、ベースラインが上がる現象が起きるようになりました。

下は正常なときのスペクトル


2010年4月27日
精密質量測定の標準物質にポリスチレンを用いることがあります。 これまで平均分子量2400のものと3700のものしか手元になかったのですが、昨日、理学部の先生から平均分子量600のものをわけていただきました。 ピーク強度の弱いところもありますが、とりあえずFDのほぼ全域をカバーできそうです。

ポリスチレン(上から順に600、2400、3700)


2010年4月16日
精密質量測定用の標準物質を集めています。

分子量342 シュークロース(下はNaCl添加) 極性の高いもの用


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