研究概要

研究目的

ダイズは主要作物の一つです。わが国では古くから食材や調味料(豆腐・納豆・味噌・醤油など)として利用されています。また,世界的には油糧作物としても広く知られており年間2億8千万トン程度生産されています。ダイズ油の生産量はパーム油に次いで植物油の中で2番目に位置します。ダイズの祖先野生種はツルマメといわれる植物です。このツルマメは中国から日本にかけて自生しています。これらのツルマメには将来品種改良に繋げられるような有用形質を持つものもあります。また,ダイズとツルマメを比較することで栽培化の経緯を推察することもできます。このように身近に多数の遺伝資源が存在することからもダイズは格好の研究材料であると考えられます。私たちはこのような遺伝資源を用いることでその多様性を理解するとともに有用形質について遺伝子レベルでの理解を深めることを目的に研究を行っています。私たちの研究から得た知見は品種改良にも活用できると考えています。


主な研究テーマ

 

ダイズにおける環境適応性の分子機構の解明

ダイズは,アジア・北米・南米と広範囲に栽培されています。当然ながら,地域によって栽培環境は大きく異なります。日本においても北海道から九州まで広く栽培されています。そのため,その地域の環境に合わせて品種を育成する必要があります。開花期は適応性という観点から重要な形質の一つといえます。また,わが国では水田転換畑でダイズを栽培することがあり,水はけの不良などによる湿害が問題となります。一方,海外では干ばつが問題となる地域もあります。これらのことから,様々な環境適応性の分子機構を理解することはダイズの収量安定化に大きく貢献するものと考えられます。

ダイズの光周性に関連する遺伝子ネットワークの解明

水分ストレス耐性の分子メカニズムの解明とその制御

ダイズの草姿に関連する分子メカニズムの解明

 

 

 

ダイズにおける成分から見た物質の輸送と蓄積ネットワークの解明

ダイズ種子の40%はタンパク質,20%は脂質です。そのため,食材としてだけでなく製油の材料として広く利用されています。特に,良質なタンパク質を含むため「畑の肉」などと呼ばれます。加えて,イソフラボン・カロテノイド・トコフェロール・サポニン・クロロフィル・デンプンなど様々な成分が食味や機能性に関与しています。これらの生合成機序を理解することはダイズの品質を改善することに大きく貢献できると考えられます。また,種子の登熟に伴うこれら成分の輸送や蓄積を理解することは,種子形成や老化といった生理現象への理解に繋がると考えられます。

ダイズ種子における炭素および窒素化合物の輸送と蓄積メカニズムの解明

ダイズ種子の登熟に関わる生理学的研究

各種機能性成分の生合成機序の分子メカニズムの解明とその制御

 

 

 

野生ダイズの採集とその評価

ツルマメはダイズの祖先野生種と考えられています。このツルマメには私たちの知らない性質がたくさんあると考えられます。例えば,ストレス耐性や機能性成分を豊富に含む種子などその可能性は無限です。私たちは年に一度,日本全国を対象にツルマメの調査と採種を行っています。採種した種子は各種分析を行い,場合によっては札幌で養成して種子を増殖します。また,ダイズと交配を行い分離集団を作製する場合もあります。これら採種・増殖・作製した遺伝資源の一部は研究材料として利用できるよう,ナショナルバイオリソースプロジェクトの一環として情報の公開と遺伝資源の配布も行っています。詳しくは,ナショナルバイオリソースプロジェクトLegume Baseのサイトをご覧ください。