1回旭川GMO対話フォーラム

日  時: 2006年11月21日(火) 18:00〜20:30
会  場: 旭川市 花月会館
主  催: 遺伝子組換え作物対話フォーラムプロジェクト
共  催: 北・北海道国際交流センター講演会として
参加者: 60人強( +PJ2名)

進  行: 18:00〜18:10 開催挨拶(北北海道国際交流センター)
       18:10〜19:20 スピーチ
       19:20〜19:30 質疑応答
       19:40〜20:30 談話会
       20:30       終了

話題提供

松井 博和 北海道大学大学院農学研究院教授

    『21世紀における科学と社会のあり方について遺伝子組換え作物について

要旨

 食の安全性に関する国民意識調査によれば、農薬などへの不安のほか、GM作物への不安が7割近くある。人口問題、環境悪化、エネルギー枯渇問題の解決には、大量生産、大量消費、効率優先、競争至上主義などから脱却し、安全を優先させた量から質へのパラダイムシフト(意識改革)が必要である。科学とは人類に夢を与えるもので、技術とは人類に喜びを与えるものである。

 遺伝子とは「DNAの中でタンパク質の配列を作る情報を持つ部分」である。車の設計図にもたとえることができる。組み換える手法にはアグロバクテリウム法やパーティクル・ガン法などがある。遺伝子組換え技術は幅広いバイオ技術の一つである。

 GM作物は、21カ国で商業栽培され、アメリカ(66%強)、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、中国で95%を占めている。作付面積は大幅に増えたが、増えたから良いと言っているのではない。飢餓と飽食の問題をともに考えないといけないように、ものごとには両面性がある。
栽培されている全てのGM作物中、GMダイズが6割、GMトウモロコシが2割強、GMワタが1割程度GMナタネが1割程度である。GMと非GMの割合は、ダイズで60%がGMで、トウモロコシが14%、ワタが28%、ナタネが18%である

 従来のGM作物論争は、「GM食品は安全か、危険か」や「GM技術は環境にとって安全か、危険か」といった二項対立型だった。技術としての完全性、実質的同等性、ファミリアリティ、評価手法の妥当性などについても議論は平行線である。科学や科学者に問われていることは何であろうか。繰り返し行うコミュニケーション型の対話に切り替えて、研究者と市民との相互理解を図りたい。夢は、産官学民、市民を巻き込んだ食の安全安心センター(仮)の実現である。

 北海道では2005年3月に「GM作物交雑防止条例」が制定されたが、その背景には道庁の意図だけではなく、様々な考えを持った消費者や農業者や研究者などの動きもあった。私も、2004年に「遺伝子組換え作物の私見栽培実施条件検討委員会」座長を務め、2005年には「遺伝子組換え作物交雑等防止部会」部会長を務め、それぞれの委員とともに制定に協力した。

 2004年以降市民との対話の場を模索し続けた結果が、今回のGMO対話フォーラムプロジェクトである。夢は、産官学民そして市民を巻き込んだ食の安全安心センター(仮)の実現である。