1回苫小牧GMO対話フォーラム

日  時: 2006年5月27日(土) 14:00〜17:00
会  場: コープさっぽろ苫小牧 川沿店2階 組合員室
主  催: 遺伝子組換え作物対話フォーラムプロジェクト
共  催: コープさっぽろ苫小牧地区 「学習会として」
参加者: 12名( +1名+PJ2名) 総数15名

進  行: 14:00〜14:10 挨拶(コープさっぽろ苫小牧地区委員長)
       14:10〜15:50 スピーチと意見交換(1)
       16:00〜17:00 茶話会形式での意見交換(2)
       17:00       終了 

話題提供 
  
  松井 博和 北海道大学大学院農学研究院教授

      『遺伝子組換え作物を考える』

要旨

 人類46億年の歴史を暦で見ると、人類の誕生は大晦日の午後4時頃である。遺伝子組換え技術は1年が終わろうとする瞬間に登場した。遺伝子とは「DNAの中でタンパク質の配列を作る情報を持つ部分」である。車の設計図にもたとえることができる。組み換える手法にはアグロバクテリウム法やパーティクル・ガン法などがある。遺伝子組換え(GM)技術は幅広いバイオ技術の一つである。

 GM作物は、21カ国で商業栽培され、アメリカ(66%強)、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、中国で95%を占めている。作付面積は大幅に増えたが、増えたから良いと言っているのではない。飢餓と飽食の問題をともに考えないといけないように、ものごとには両面性がある。

 栽培されている全てのGM作物中、ダイズは6割、トウモロコシは2割強、ワタは1割程度、ナタネも1割程度である。GMと非GMの割合は、ダイズで60%がGMで、トウモロコシが14%、ワタが28%、ナタネが18%である。付与された形質は除草剤耐性と害虫抵抗性である。食料自給率が40%、輸入飼料への依存という状況で、実は、日本はGM作物の輸入大国である。

 北海道で2005年3月に制定された「GM作物交雑防止条例」の背景には、様々な考えを持った消費者や農業者や研究者などの動きがあった。私も、「遺伝子組換え作物の試験栽培実施条件検討委員会(2004)」座長を務め、「遺伝子組換え作物交雑等防止部会(2005)」部会長を務めた。

 従来のGM作物論争は、「GM食品は安全か、危険か」や「GM技術は環境にとって安全か、危険か」といった二項対立型だった。技術としての完全性、実質的同等性、ファミリアリティ、評価手法の妥当性などについても議論は平行線である。科学や科学者に問われていることは何であろうか。

 繰り返し行うコミュニケーション型の対話に切り替えて、研究者と市民との相互理解を図りたい。夢は、産官学民そして市民を巻き込んだ食の安全安心センター(仮)の実現である。