[[研究紹介/植物生理生態学]]
 *札幌市郊外の硬石山での山火事−そこから何を読み取るか… [#t4656d51]
 
 2008年5月3日、札幌市南区の閑静な住宅街の一角にある十五島公園の近く、硬石山にて山火事が発生した。~
 
 ●火事詳細
 
 &ref(kataishi1.jpg); 
 
 ・燃焼面積:4ha(南向き斜面 高度差200m程)~
 ・火事の形態:地表火(一部-斜面の上部で樹冠火)~
 ・林床に優占していたササはほぼ全焼(火災後はこれらが燃えて歩きやすくなっている)~
 ・シラカンバ、ミズナラ、ハルニレなどが優占する広葉樹林~
 ・出火原因はおそらく『たばこ』(消火活動時の消防士さん談)~
 
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 これまで山火事が森林生態系へ与える影響に関する研究は、アメリカのイエローストーン国立公園やアラスカ、~
 ロシア、北欧、地中海沿岸の地域など、『山火事が頻繁に起こる(起こっていた)場所』を中心に行われてきた。~
 国内でも瀬戸内海沿岸の比較的乾燥する地域を中心にこれまで研究が行われてきている。~
 
 &ref(m45.jpg);~
 例)極東ロシアの山火事跡地
 
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 一方、北海道では同じ自然災害でも風害に比べて、印象のやや弱いのが山火事であろうか。~
 
 しかし、かつて北海道を含む、日本全国で非常に山火事の頻発していた(中静 2004)。~
 しかし、かつて北海道を含む日本全国で山火事が頻発していた(中静 2004)。~
 そして、それら『かつての山火事』が現在の北海道の森林の植生タイプ影響しているという報告があるなど~
 北海道の森林動態を考える上でも山火事は重要な要素であることがわかる(Takaoka and Sasa 1996)。~
 
 また、今回のように札幌市南区のような、一般に山火事が起こりにくいと言われる冷温帯林において現在も山火事は起こっている。~
 冷温帯林では、真坂ら(2006)の報告にある1998年の西興部の山火事でも指摘されたが、フェーン現象など極度の乾燥条件にさらされると、北海道内でも山火事が発生する可能性が高まる。~
 ちょうど、今回の硬石山の火災時もニュースではフェーン現象が告げられ、季節外れの猛暑の中、硬石山だけではなく道内各地でも山火事の発生が報道されていた。~
 
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 近年問題となっている人間活動に伴ったさまざまな環境変動。結果、降水量パターン、気温の上昇も報告されている。~
 そのような中、道内でも山火事による影響も増えていくことも予測される―。~
 
 …シベリアやアラスカなどのように山火事に犂靴譴討い覆き畤后¬據垢蓮∋害仍によってどのような影響をうけるのだろうか。~
 
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 そのような背景のもと、我々、造林学グループは山火事跡地における森林再生のモニタリングを開始した。(火災という)攪乱が森林動態に及ぼす影響の解析である。植生回復の担い手となる樹木の栄養動態も注目すべき課題である(小林ら2008、Makoto et al. 2008)なかで焼け跡に生産された「炭」の役割にも注目している。~
 
 森林管理局のご厚意により、5月26日から現地入りが可能に成りました。~
 近づくと斜面に褐色の部分が見えてきた。15分ほど急斜面を登ると焦げくさい匂いとともに焼け野原が目に飛び込む。~
 
 人為的な山火事実験を行っている天塩研究林と、このフィールドでの調査をリンクさせながら効果的に研究を進めていきたい~
 (参考:[[火災実験]])。~
 
 ※火災後2ヶ月以降の山火事跡地の様子は、こちら[[山火事硬石山2ヶ月後]]、[[山火事硬石山6ヶ月後]]へ~
 
 &ref(十五島斜面.JPG);       &ref(硬石尾根.JPG);       &ref(試験地設定.JPG);~
 尾根が褐変している硬石山斜面                                                      火災現場の入り口                                       早速、試験地設定~
    
 &ref(3m焦げ.JPG);  &ref(火災後枯死.JPG);  &ref(ササ芽.JPG);~
 延焼は3mを越えた!                                                              枯死したハイイヌガヤ                                    驚異の生命力!~
 
 &ref(放棄後樹洞.JPG); &ref(住みか.JPG);   &ref(硬石山プロット.JPG);~
 可愛いさえずりが聞こえるはずだった(樹洞と内部)                                     試験地設定を終えて記念撮影(5月28日)~
 
 引用文献:~
 ・中静透 (2004) [[森のスケッチ>http://www.press.tokai.ac.jp/bookdetail.jsp?isbn_code=ISBN978-4-486-01637-3]]、東海大学出版会、p56-62~
 
 ・[[小林真]]・金容ソク・松井克彦・野村睦・柴田英昭・里村多香美・上浦達也・北條元・高橋廣行・小塚力・坂井励・高木健太郎・佐藤冬樹・笹賀一郎・小池孝良(2008) 火入れ処理が北海道のササ地における土壌のリンと窒素の動態へ与える影響. 日本森林学会北海道支部論文集 56: 29-32.~
 
 ・Takaoka, S. and Sasa, K. (1996) Landform effects on fire behavior and post-fire regeneration in the mixed forests of  northern Japan. Ecol. Res. 11: 339-349.~
 
 ・[[Makoto, K.>http://www.agr.hokudai.ac.jp/fres/silv/index.php?Makoto%20Kobayashi]], Shibata, H., Kim Y-S., Satomura, T., Takagi, K., Nomura, M., Satoh, F., Sasa, K., and Koike, T. (2008) Effects of experimental burning on the soil nutrient concentrations in white birch forest in Hokkaido, northern Japan. -A method for experimental burning-. In THE INTERNATIONAL CONFERENCE ON SUSTAINABLE AGRICULTURE FOR FOOD, ENERGY AND INDUSTRY 2008. (in press).
 
 ・真坂一彦・山田健四・大野康之(2006) 1998年に西興部で発生した山火事語の森林の再生動態. [[北海道林業試験場研究報告. 43:36-47>http://www.hfri.pref.hokkaido.jp/kanko/kenpo/pdf/kenpo43-3.pdf]].
 
 [[小林真へ>http://www.agr.hokudai.ac.jp/fres/silv/index.php?%BE%AE%CE%D3%BF%BF]]~
 [[森林生理生態学へ>http://www.agr.hokudai.ac.jp/fres/silv/index.php?%B8%A6%B5%E6%BE%D2%B2%F0%2F%BF%A2%CA%AA%C0%B8%CD%FD%C0%B8%C2%D6%B3%D8#content_1_4]]
 [[研究紹介へ>http://www.agr.hokudai.ac.jp/fres/silv/index.php?%B8%A6%B5%E6%BE%D2%B2%F0]]

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