* 造林学分野の概要 [#eea56a46]
 
 ** 造林学分野とは [#ga591a34]
 つい最近まで人類は森林を利用することにより文明を発達させてきた。我が国は古くから「森林の保続」に意を注いできた国であった。それは人と森とのつきあいの中から経験に裏打ちされた技能であったと思われる。室町時代以降、建築用材としての伐採が盛んになるに従い、植林技術が定着するようになった。しかし、それはスギ・ヒノキの用材林やコナラやクヌギの薪炭林を中心とした森林再生の学問であった。
 
 明治以降、北海道では天然林が大量に伐採されるようになり、本格的に造林が開始され、試行錯誤を経てカラマツ、トドマツなどの植林技術が確立された。しかし、2代目3代目となっている造林地が多い本州以西と異なり、北海道の造林地は一部のカラマツ林を除き1代目の利用がようやくできるようになったばかりである。安い外材の輸入により危機的状況にある日本林業のなかで、これからの北海道の人工林をどのように再生したらよいのか、造林学の立場からビジョンと再生技術の科学的裏付けを示さなければならない。
 
 一方、地球温暖化や生物多様性が問題とされている現代は、環境資源としての森林の保全に留意しなければならなくなっている。 森林は生き物であり、常に活動している、その活動は太陽光、雨、気温などの気象条件、根を張っている土壌との関係を抜きには語れない。造林学分野は生物としての森林の特性、森林と環境の相互関係を中心に、その実態や関連する周辺科学の発展を常に注目しながら、育林技術を支える総合科学としての役割を果たさなければならない使命がある。
 

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