* 緑の風・木枯らし [#q8a579ed]
 OB/OGからの情報、速報などを随時掲載します。
 ** 国有林野事業の現状と行政改革:生物多様性保全の視点 090202 [#r51bc608]
 林業経済学会のシンポにて:石井名誉教授情報~
 佐藤謙氏(北海学園大学教授)「北海道国有林における生物多様性保全の現状と課題ー維管束植物を中心に」~
 +問題のたて方は,1998年の国有林の抜本的改革による公益的機能重視,そして2001年の森林林業基本法の多面的機能重視の方向転換を評価したうえで,現実の経営,施業が生物多様性保全と持続的森林経営を保障するものになっているかを問い,現実は両方とも保障するものになっていないことを事実をもって指摘した。~
 +希少種,絶滅の危機にある種が天然林伐採や林道建設によって失われていること。~
 +北海道国有林の保護林は面積も少なく,その内容をみると,ダケカバ林や高山植生などを主としており,各種森林タイプを含んでいない。生物多様性保全を保護林にのみに押し込め,通常の天然林は施業対象とされている。他省庁の施策には非協力的で地主的対応が目立つ。~
 +生態学的には森林は原生林,自然林,2次林,人工林と区分されるが,国有林では天然林,人工林という区分であり,天然林施業ということで,原生林をも伐採している。~
 +近年の特徴はこれまで伐採されずに残されてきた尾根筋などの保護樹帯などの天然林を収入確保の観点から伐採することが多くみられる。~
 +機能区分によると,確かに公益林が増えているが,水源かん養タイプや国土保全タイプについて天然林伐採が進行した。これら公益林を伐採する場合には,伐採と公益的機能確保の関係の科学的根拠を示すべきである。~
 +多くの天然林ではこれまでの森林施業の結果,大径材を選択的に伐採した結果,疎林化しており,持続的森林管理を行う条件が欠如している。~
 +このように現実の国有林は公益的機能,多面的機能重視の建前の上で,基本的理念からかけ離れた木材生産や森林整備が行われており,劣化した天然林をさらに劣化させている。~
 +提案として次の点が指摘できる。~
 a 北海道国有林は50年先を見据えた長期的再生計画が必要であり,森林の実態を科学的に把握し,市民とともに認識を共通にすべきである。~
 b 相対的に自然度の高い天然林は木材生産から外すゾーニングが必要である。~
 c  生物多様性保全を含む公益的機能を包括的に実行する体制が必要であり,国有林を2分化する政策には反対である。~
 d  林業経済関係者に期待することは,こうした国有林の現状を直視するとともに,生物多様性保全への理解を深めるとともにCVMなどを利用して木材生産,伐採による生物多様性の喪失などについて評価する手法の開発と計測が求められている。~
 
 山本博一氏(東大教授,森林計画学会長)「国有林における森林管理技術の課題」
 +国有林の地軌跡は10億m3である。現在,成長量は2000万m3で,伐採量は411万m3である。国有林の最高の伐採量は1965年度の2300万m3である。こうしたことはどうして生じているのかを合理的に説明してほしい。考えられる要因は,人工林収穫予想表の検証,施業(伐採)対象林分の減少,天然更新・不成績造林地,森林被害量などが考えられる。~
 +天然林施業についてみると,国有林は内向きで,「閉じており」,コミュニケーション能力が欠けている。また用語の使い方が独善的であり,天然生林とか天然下種更新など実態は「ほったらかし」にも関わらず,そうした用語が使われている。またマニュアル化の弊害もあり,職員が思考停止になっているのではないか。~
 +天然林の管理には生物多様性た持続性など様々な情報が必要であるが,現在のStaffでは実現できない。
 +モニタリングが必要であるが,国有林では計画が立てられるものの,計画の実行のチェック,照査が行われていない。
 +森林管理技術者の養成が大変重要である。モニタリングを前提とした施業体系が求められる。                                                                                       
 
 ** 国有林の今後 090127 [#x3e86424]
 国有林改革法案に関する情報です。~
 +林政ニュース1月28号によると、予定されている国有林独法の名称は「日本森林整備機構」(仮称)とされた。~
 +民主党は1月20日に,「農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案を衆議院に提出した。それは民主党「次の内閣」閣議で昨年の12月24日に決定されたもので,民主党のホームページによれば,同案第31条では,「農林水産行政と環境行政を一体的に推進する観点から国有林野事業の組織及び事業の在り方を抜本的に見直し,国有林野事業の全般について,国が直接行うことを維持しつつ,一般会計において経理される事業への移行等の必要な措置を講ずるものとする」としている。石井先生談。~
 
 ** ニセアカシア倒れる 090108 [#f1e5833a]
 森林保護学の講義でも「活躍」してくれた留学生センター前のニセアカシアが、08年12月26日の嵐で、倒れました。けが人が無くて良かったですが、予想していたように留学生センターに向かって倒れたそうです。が、すぐ農学部前に移動させたため、気づきませんでした。造林OB・宮本さんの情報で、見に行きました。根元から倒れていました。根も完全に腐れていたようです。ベッコウタケ('''Fomitella fraxinea''' (Fr.) Imazeki 名称の通り、あの今関六也さんの命名;ニセアカシア、サクラ類、リンゴなどで、果樹園に発生し被害を与える。)そして、6m付近まで腐朽が進んでいました。幹は部分的にはしっかりしているという診断でしたが...。水平根の地下部が腐朽していたのかもしれない。雪解けが待たれる。~
 
 &ref(打診中.JPG);   &ref(ベッコウタケ.JPG);   &ref(樹木医講義08.JPG);~
 腐朽程度を木槌で調べる(根元にはベッッコウタケが)     レジストグラフで幹強度を調べる~
 
 &ref(倒れたニセアカ.JPG);      &ref(ニセアカシア断面.JPG);~
 根が引きちぎられるように                        腐朽が進む、6m位置     

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緑の風・木枯らし09 のバックアップ差分(No.4)