緑の風・木枯らし

OB/OGからの情報、速報などを随時掲載します。

相撲力士「大鵬」は、下刈り作業で鍛えた 090714

林学OB(S61)五関一博さん(林野庁)からの情報です。活躍された「大鵬」関は、「第3回「美しい森林づくり全国推進会議」で、挨拶をしています。なんと、入門前は弟子屈営林署(現森林管理署)の造林作業に従事していて、下刈りで下半身が鍛えられたのだそうです。 http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/utsukushiimoridukuri/news138.pdf
前の高橋邦秀教授以来、晩霜害の研究や、最近では、摩周湖外輪山の森林調査でお世話になっている弟子屈町が身近に成りました。

硝酸イオンの脅威 090705

工学部OB野口泉さん(道環境科学センター)の北海道新聞への談話。酸性雪・汚染源12年で2倍。96年と08年の比較;日本海側では、182から322mg/m2へ。偏西風によって山東省?付近から運搬か!窒素沈着の脅威が続く。記事は下段に。地図の拡大は道新NO3.JPG

1967年 スウェーデン王立林科大学の視察団報告書 090603

OB(林産学科昭和30年卒業)の松浦清様(林野庁)から、貴重な資料をいただきました。1967年当時の諸戸林業など、我が国の情報が掲載されています。ただ、スウェーデン語なので、写真が貴重かもしません。大部屋に備えました。表紙は下段に。

北海道大学農学部造林学講座・開設百周年記念事業期成会・発足 090514

東北帝国大学農科大学林學教室に、1910年3月に発足した林學第二講座こそ、造林学研究室である。今年度、めでたくも開設百年を迎える。昭和28年ご卒業の五十嵐先生以下OB、職員らが集まって、このめでたき事をお祝いする事になった(下段)。10月10日(土曜)に大講堂にて記念講演会(基調講演として、造林学講座黎明期の活動(仮称)、そして百年目の卒業生となる学部5名、さらに研究を進める院生らの発表を予定している。林學教室は、環境問題の原点とも言うべき古河記念講堂から始まった。古河記念堂.jpg

北海道新聞から 090513

石井寛名誉教授ご企画の「北海道の森林」シリーズの紹介と御自身の論壇です。OB渋谷さんの論壇を紹介。道新夕刊5月12日付け。
そこでは

  1. 戦後の森林施業の結果,トドマツとカラマツ,そしてカンバ類の蓄積は増加したが,その他の樹種の蓄積は減少し,蓄積という点で多様性が低下していること。 ちなみに(私が)5月22日に報告するドイツ・バーデン・ヴェルテンベルクでは1985年以降,近自然的林業の取り組みとも関わって,針葉樹の割合が減少し,ブナと広葉樹の割合が増えていることが注目される。北海道ではカンバ類以外の広葉樹の更新技術は確立していないが,ドイツではブナやその他広葉樹の更新技術が確立していることが注目される。
  2. 北海道の天然林施業は成長量と伐採量だけに注目し,異なる径級の樹種混交について留意していなかったために失敗に終わったとしている。一方,ドイツの森林施業について解説した池田憲昭氏の話では,「ドイツでは超伐期林業という言葉がありません。時間を基準に林業を行っていないからで,基準となるのは径級です。この木をこの径級まで育てたい,この土地であればこの径級まで育てられるという基準を目標にしている」とのことです。
  3. 北海道は量にのみこだわり,伐期,そして収益性ということにこだわりすぎたことが分かります。「北海道の森林」シリーズでは,昨年の12月9日づけの北方生物圏フィールド科学センター雨龍林長・吉田俊也氏の「林業と生物多様性」を合わせてみてださい。
    (お二人の記事は、下段に掲載しています。ご参照ください。画像は石井先生から提供。)

森林資源の現状 090303

森林資源の蓄積の偏りの問題点が明確に成った。下段の新聞記事を参照されたい。・・・神沼教授

Natureから 09021

窒素酸化物は、窒素飽和を引き起こすため対流圏オゾンと並んで脅威です。窒素酸化物の集中するところ(Nitrous oxide hot spots)Nature Geoscience, 2009年02月16日から
世界中で最も大きい土地被覆種の1つである亜北極地域のツンドラ土壌は、温室効果ガスとなる可能性がある窒素酸化物を大量に放出することができる。これまで、このような木の生えていない土壌は、窒素酸化物の発生源としては無視できると考えられていた。
P Martikainenらは、北極圏にある半分凍った東ヨーロッパの泥炭地で、窒素酸化物の放出を測定した。植生のない泥炭部分は、農地や熱帯土壌からの放出に匹敵する量の窒素酸化物を放出していることがわかったが、これは、陸上の窒素酸化物放出源としては最大であると考えられる。彼らの野外調査のデータを北極地域全体に外挿すると、これらの泥炭裸地が地球温暖化にもたらす可能性は、北極域のメタン放出による地球温暖化の可能性の4%に達すると考えられる。これらの発見は、亜北極域のツンドラ土壌に蓄えられた窒素が気候に与える影響を評価するときに、その量を考える上で重要となる。小池

Nature2月19号で,イギリスの研究者は40年間の研究成果として,アフリカ10カ国の森林の炭素吸収量としてha当り0.63トンであることを明らかにしたとのことである。この研究成果によると,アフリカ熱帯林全体で年間炭素吸収量は3.4億トンとなり,我が国の1年間の炭素排出量とほぼ同じであるという。これまでアフリカの熱帯林の吸収量の情報は少なかったようで,この研究成果によると, 南米,アジアの熱帯林を含めた地球全体の熱帯林の吸収量は毎年13.1億トンになるという。南米はサバンナ林が多いので,ha当り0.63トンという炭素吸収量は我が国の森林の数値と比較しても大きいように思う。それと同時にIPCCの第4次評価報告書の評価によれば,森林を含む自然生態系全体として26億トンの炭素を吸収しているとされているので,森林の吸収量が多いことが分かる(下段、毎日の新聞記事を参照;造林・関係者・松浦陽次郎さんのコメント付き)。・・・I名誉教授より

国有林野事業の現状と行政改革:生物多様性保全の視点 090202

林業経済学会のシンポにて:石井名誉教授情報
佐藤謙氏(北海学園大学教授)「北海道国有林における生物多様性保全の現状と課題ー維管束植物を中心に」

  1. 問題のたて方は,1998年の国有林の抜本的改革による公益的機能重視,そして2001年の森林林業基本法の多面的機能重視の方向転換を評価したうえで,現実の経営,施業が生物多様性保全と持続的森林経営を保障するものになっているかを問い,現実は両方とも保障するものになっていないことを事実をもって指摘した。
  2. 希少種,絶滅の危機にある種が天然林伐採や林道建設によって失われていること。
  3. 北海道国有林の保護林は面積も少なく,その内容をみると,ダケカンバ林や高山植生などを主としており,各種森林タイプを含んでいない。生物多様性保全を保護林にのみに押し込め,通常の天然林は施業対象とされている。他省庁の施策には非協力的で地主的対応が目立つ。
  4. 生態学的には森林は原生林,自然林,2次林,人工林と区分されるが,国有林では天然林,人工林という区分であり,天然林施業ということで,原生林をも伐採している。
  5. 近年の特徴はこれまで伐採されずに残されてきた尾根筋などの保護樹帯などの天然林を収入確保の観点から伐採することが多くみられる。
  6. 機能区分によると,確かに公益林が増えているが,水源かん養タイプや国土保全タイプについて天然林伐採が進行した。これら公益林を伐採する場合には,伐採と公益的機能確保の関係の科学的根拠を示すべきである。
  7. 多くの天然林ではこれまでの森林施業の結果,大径材を選択的に伐採した結果,疎林化しており,持続的森林管理を行う条件が欠如している。
  8. このように現実の国有林は公益的機能,多面的機能重視の建前の上で,基本的理念からかけ離れた木材生産や森林整備が行われており,劣化した天然林をさらに劣化させている。
  9. 提案として次の点が指摘できる。
    a 北海道国有林は50年先を見据えた長期的再生計画が必要であり,森林の実態を科学的に把握し,市民とともに認識を共通にすべきである。
    b 相対的に自然度の高い天然林は木材生産から外すゾーニングが必要である。
    c 生物多様性保全を含む公益的機能を包括的に実行する体制が必要であり,国有林を2分化する政策には反対である。
    d 林業経済関係者に期待することは,こうした国有林の現状を直視するとともに,生物多様性保全への理解を深めるとともにCVMなどを利用して木材生産,伐採による生物多様性の喪失などについて評価する手法の開発と計測が求められている。

山本博一氏(東大教授,森林計画学会長)「国有林における森林管理技術の課題」

  1. 国有林の地軌跡は10億m3である。現在,成長量は2000万m3で,伐採量は411万m3である。国有林の最高の伐採量は1965年度の2300万m3である。こうしたことはどうして生じているのかを合理的に説明してほしい。考えられる要因は,人工林収穫予想表の検証,施業(伐採)対象林分の減少,天然更新・不成績造林地,森林被害量などが考えられる。
  2. 天然林施業についてみると,国有林は内向きで,「閉じており」,コミュニケーション能力が欠けている。また用語の使い方が独善的であり,天然生林とか天然下種更新など実態は「ほったらかし」にも関わらず,そうした用語が使われている。またマニュアル化の弊害もあり,職員が思考停止になっているのではないか。
  3. 天然林の管理には生物多様性や持続性など様々な情報が必要であるが,現在のStaffでは実現できない。
  4. モニタリングが必要であるが,国有林では計画が立てられるものの,計画の実行のチェック,照査が行われていない。
  5. 森林管理技術者の養成が大変重要である。モニタリングを前提とした施業体系が求められる。 2

国有林の今後 090127

国有林改革法案に関する情報です。

  1. 林政ニュース1月28号によると、予定されている国有林独法の名称は「日本森林整備機構」(仮称)とされた。
  2. 民主党は1月20日に,「農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案を衆議院に提出した。それは民主党「次の内閣」閣議で昨年の12月24日に決定されたもので,民主党のホームページによれば,同案第31条では,「農林水産行政と環境行政を一体的に推進する観点から国有林野事業の組織及び事業の在り方を抜本的に見直し,国有林野事業の全般について,国が直接行うことを維持しつつ,一般会計において経理される事業への移行等の必要な措置を講ずるものとする」としている。石井先生談。

ニセアカシア倒れる 090108

森林保護学の講義でも「活躍」してくれた留学生センター前のニセアカシアが、08年12月26日の嵐で、倒れました。けが人が無くて良かったですが、予想していたように留学生センターに向かって倒れたそうです。が、すぐ農学部前に移動させたため、気づきませんでした。造林OB・宮本さんの情報で、見に行きました。根元から倒れていました。根も完全に腐れていたようです。ベッコウタケ(Fomitella fraxinea (Fr.) Imazeki 名称の通り、あの今関六也さんの命名;ニセアカシア、サクラ類、リンゴなどで、果樹園に発生し被害を与える。)そして、6m付近まで腐朽が進んでいました。幹は部分的にはしっかりしているという診断でしたが...。水平根の地下部が腐朽していたのかもしれない。雪解けが待たれる。

打診中.JPG  ベッコウタケ.JPG  樹木医講義08.JPG
腐朽程度を木槌で調べる(根元にはベッッコウタケが)     レジストグラフで幹強度を調べる

倒れたニセアカ.JPG ニセアカシア断面.JPG
根が引きちぎられるように      腐朽が進む、6m位置     


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緑の風・木枯らし09 のバックアップ(No.15)