緑の風・木枯らし

OB/OGからの情報、速報などを随時掲載します。

070704 北方林業 編集後記から

緑を増やす事は「善」であり、荒廃地に緑に回復することを私どもは目標としてきたはずである。昭和30(1955)年に刊行された「育林学新説」(中村教授還暦記念事業会 編)は、造林学のベストセラーと言われる。学生時代、この中にある「荒廃地造林」の章(門田正也著・名古屋大学名誉教授)を読み、この方針に感銘を受けた思いは今も変わらない。大気汚染物質の渦巻く中で、衰退し続ける森林の再生を願ったのは私一人ではない。しかし、平成18(2006)年1月、人気のある科学雑誌、Natureに驚くべき記事が掲載された(439巻187-191)。樹木からメタンが放出されていることが見つかったという。メタンは、温室効果ガスとして知られている二酸化炭素の約23倍の温室効果を持つと言う。大気中には二酸化炭素は約0.03%含まれているが、メタンは平均 0.00022%と推定されてきた。その量が僅かとはいえ、植林面積が増えることによってメタン放出源が増すことになれば、混乱の極地に陥ることになると思われる。これまで、湿地に生育できるヤチダモに顕著であるが、イネと同様に地上部から空気を運ぶことのできる通気組織(エアレンチマ)が発達しており、エアレンチマを通じてメタンが運び出されていることは、北海道立林業試験場によって指摘された。しかし、好気的条件下での樹木によるメタン発生は驚異であり、森林総合研究所が本州の代表的な樹種を用いて直ちに追試した。さらに、平成18年夏には学術振興会特別研究員のKさんが、高CO2環境で育成された北海道の代表的樹種3種を対象として調査した結果、やはり、メタンの放出が確認された。どの様な条件で、この樹木からの好気的メタン発生が加速されるのか、調査を急がねばならない。従来、森林土壌はメタンの吸収源であると考えられてきた。しかし予期しなかった樹木からの好気的メタン放出は、そのメカニズムの解明を通じて、その抑制対策が待たれる。荒廃地造林を目標にしてきたが、その根底が揺らぐ思いでいる。(小池)

070629 「昆虫記のファーブルの肉筆・・・新島善直・縁」 宮本敏澄氏発掘

北大博物館にて日仏交流の一環として、「ファーブル昆虫記」のファーブル関連の展示がされます(7月1日〜9月17日展示予定)。その中に、造林学研究室・「開祖」・新島善直教授(1871〜1943)が入手されたファーブルの肉筆付きの古書も展示される。OB宮本敏澄(現・資源生物)さんが発見。造林から博物館に貸し出し中です(記事は道新6月29日)。新島先生は、造林学だけではなく、森林保護学(特に穿孔虫の研究)、応用鳥学、熱帯造林学、森林美学なども講じられた。修論・卒論で関連の深い黒松内ブナ林の保護を行ったことでも有名です。黒松内町の刊行による「北のヤシの木」(新島先生の足跡)のタイトルは、新島先生が、ブナの樹型見て、「ヤシの木」のようだ、と言われた事に由来する。紹介する肖像も同本からの転載。(黒松内町)。 新島先生肖像.jpg:

070627 OB 渡邉定元氏、大いに語る

渡邉定元先生大いに語る(日本森林学会・森林施業研究会元顧問)。「水と森林・樹木と人びと」ー日本の水法と森林の関わりー 日本河川協会刊行 「河川文化」24巻にて、貴重な指摘を! 文科省の大きなプロジェクトは、大都市周辺の水資源管理に関わる内容が多い。砂防学の東三郎名誉教授によるかつての試算によると、札幌市の水瓶とされる豊平峡ダムは180万人の渇きを潤すことができるとか。しかし、既に人口は190万人に。

070623 緑資源機構の解体

道新6月25日の4面で緑資源公団の廃止との関係で国有林のあり方に関わる報道が初めてでていることが注目されます。1)緑資源公団は2007年度限りで廃止、2)大規模林道は都道府県に2008年度から移管、3)森公弘済会と林業土木コンサルタンツは設立許可を取り消す、4)緑資源公団が行ってきた水源林を対象とする植林部門は将来的に,林野庁から国有林整備部門を引き継いで,2010度中に設立する新たな独立行政法人が継続して実施する,という内容です。  今の情勢では緑資源公団の廃止は必至でしょうが,予想通りに国有林の合理化の受け皿と緑資源の植林部門が結びつきました。今後,色々な動きがあるでしょうが,こういう方向で基本的には進むでしょう。林野庁はさらに天下り人事の規制策をださねばならず,また談合を防ぐための入札方式の改善を余儀なくされるでしょう。(I名誉教授)

070623 道庁の林務系の将来を占う

苫小牧研究林へ、今上天皇ご夫妻も訪問され、北大研究林に注目が集まりました。さて、その植樹祭の際の高橋知事の挨拶で,北海道森林づくり条例について述べ,道民との協働で森林整備を行うことの重要性,地球温暖化防止,土砂害防止における森林の役割を強調されていました。これに来年のサミットを考慮すると,道庁では一層,森林整備の推進が強調されることは間違いのないことかと思います。木材生産は資源管理,森林整備上の必要性との関係で今後強調させることになるでしょう。(I名誉教授)道立林試では、グリーム(Green+Dreamの造語−千島列島産のグイマツを母親、ニホンカラマツを父親とする雑種F1。現在は「挿し木」で増殖)に期待, (道立林試の広報「北の森の達人」を参照。

070601 道庁の人事(関係分抜粋)

岡本光昭(57)−十勝支庁長,林学48卒(新規採用では精神的にもお世話になりました。OBは本当に有り難いと痛感しました。)野呂田隆志ー林務局長,林産53卒、荒川剛ー環境局長,林学53卒、浅井定美ー林産試験場長,林学49年卒、高藤満ー林業試験場長、真山良ー空知森づくりセンター長,林学51年卒

070523 道庁、森林環境税を検討中

日経の5月23日付けの報道によれば,道北市町村長との懇談において,高橋知事は道の独自財源として,森林環境税を導入し,森林の整備に当る構想を披露したとのことである。サミットとの関係で森林環境税の創設を知事に働きかけるといっていました。知事が賛成するかどうかが最大の問題であるとも言っていました。北海道の林業にとって,天然生林・人工林を含めて予算を確保して森林整備に当ることはもっとも重要な課題です。IPCCの報告,また北海道洞爺湖サミットの開催を踏まえて,もし創設が出来れば,非常に良いことであると思います。(I名誉教授)

070315 新刊案内

3月15日に出版された「主張する森林施業論ー22世紀を展望する森林管理」日本林業調査会」公務員試験の2次試験対策になるでしょう。森林総研の鈴木和次郎・大住克彦さんらが中心になって活動してきた森林施業研究会が「顧問」として活動されてきた渡邉定元先生(北大林産学科卒業・林野庁、東大演習林長、三重大生物資源、立正大環境科学と歴任されました)の退職を記念して出版した、とある。「100年の森林づくり」に向けた最新の技術と理論が1冊に! 現場に密着した10年間の研究成果を集大成したと森林施業研究会は、HP状で紹介している。


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緑の風・木枯らし のバックアップ(No.7)