雌花両性花異株のGeranium sylvaticumの、雌個体と両性個体における性配分

要旨

多くの被子植物の花は、両性花であり、適応度の獲得は雌雄両器官を通して均等に行なわれる。しかし、被子植物の一部は同じ集団の中に雌個体と両性個体が存在する雌花両性花異株である。本研究では雌花両性花異株のGeranium sylvaticum個体群の、雌個体と両性個体における種子生産と性配分パターンについて調査を行なった。2つの個体群のうちの片方のみ、両性個体より雌個体のほうが多くのつぼみと種子を生産した。他の調査項目(胚珠のバイオマス、果実ごとの種子数、個体ごとの種子の質量)については性型(雌か両性か)による違いは見られなかった。2つの個体群間の両性個体の種子の相対適応度は異なり、雌個体の頻度の高い個体群では両性個体は雌個体に比べて雌を通した適応度が低かった。しかし、花粉の量やサイズは両個体群で違いが見られなかった。雌個体におけるつぼみの数は種子生産と正の相関があったが、両性個体は2つのうち1つの個体群でのみ、正の相関が見られた。このような結果から、この種の両性個体における雌器官を通した適応度は変わりやすく、もしかしたら個体群内の性比のように環境要因に影響を受けているかもしれないということが考えられる。

参考文献


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分野ゼミ/文献紹介ゼミ/2005-07-15 vol.17 のバックアップ(No.3)