北海道の広葉樹林の林分動態
大規模撹乱、長期動態、風害
撹乱は既存の森林構造を変え、更新を促進する現象です。
撹乱の種類、規模や更新様式の違いによって撹乱後は異なる森林構造が形成されますが、その中でも台風は北海道において最も主要な天然撹乱であるといわれています。台風による大規模撹乱後は2次林が成立し、道内にはこうした履歴を持つ林分が数多く存在していると考えられます。実際に90年代に入って林分動態の継続研究も数多く行われるようになってきました。
長期研究の重要性は認識されていますが、まだ継続年数が少ないものが多いです。また撹乱レジームや個々の樹種特性、初期更新動態は明らかになりつつありますが、林分毎の直径や胸高断面積の成長量、枯死量、進界量といった、より詳細な林分構造の動態解を解明するために必要なデータはまだ不足していると言えます。
自分が卒論で取り組んだ苫小牧研究林での継続調査は50年間の動態を個体レベルで追っており、詳細な林分構造の解明が可能であるという点で大変貴重です。撹乱後の個体群の成長様式が明らかになることで、広葉樹林の林分発達過程の一端が明らかになるといえるでしょう。
修士論文では他の調査地とも比較しながら、広葉樹林の発達過程をより明らかにすることを目指します。下の写真は1954年の洞爺丸台風による撹乱を受けた直後の苫小牧研究林(左)と、2004年の風害後50年が経過した苫小牧研究林(右)。
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