*天塩研究林のトドマツ人工林 [#za21dd04]
 初代・新島教授らが手塩にかけて育てたトドマツ人工林の主伐を迎えた。木材理学の石田茂雄先生や佐野雄三博士らがトドマツ凍裂の研究を進められた試験地とか。直径80cmにも達している立派なトドマツで、数度の除伐などが施されている。2008年3月から伐採が始まったが、その価格は一玉(4m丸太)5000円程度とか。愕然としてしまった。聞いてはいたが、目の前に置かれるとあまりに辛い現実。100年近くかかって育てた立派な材も、北洋材等との競争の結果だろうか、あまりの低価格。~
  もう1つ驚きであるが、エゾマツの一部造林地になっていた。補植はヨーロッパトウヒであると思いこんでいただけに、「発見」したエゾマツは貴重である。おそらく山引き苗を用いて育てたのであろう。トドマツの寿命はおよそ120年程度と思われ(石塚1985)、肥大成長も小さくなっていたが、エゾマツでは旺盛な肥大成長が継続されていた。森林バイオマス収穫の研究も進展中である。
  一方で、北海道各地で見られるらしいが、トドマツ人工林にはハリギリが更新している。この樹木を大きく育てたい、と願うのは皆の夢であろう。1999年の卒研生であった道広さんによって解析が試みられた。大きく発展させることができるだろうか。樹木医学的研究を目指すSY君に天塩研究林の期待がかかっている。恐らく通水機能が鍵ではないか?渡邊陽子博士の技術が不可欠である。
 初代・新島教授らが着手し、北大天塩地方演習林が手塩にかけて育ててきたトドマツ人工林の主伐を迎えた。当時は天塩川を遡って、植林などを行ったという。木材理学の石田茂雄先生(1963, 1986)や佐野雄三博士らがトドマツ凍裂の研究を進められた試験地とか。その後、森林総研東北支所でも、北大木材理学出身の今川一志博士によって[[スギ材の凍裂>http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/seika/1992/r13.html]]の研究が展開された(今川 1997)。~
 トドマツなどモミ('''Abies''')属多湿心材が宿命的という。嫌気状態に木部をおくことによって病害を防ぐのであろうか。このために寒冷地では凍裂が頻発する。このような状況を生き抜いてきたタンタ試験地のトドマツは、手入れの甲斐もああって直径80cmにも達している立派な木である。2008年3月から伐採が始まったが、旭川市場での評では、その価格は一玉(4m丸太)5000円程度とか。愕然としてしまった。聞いてはいたが、目の前に置かれるとあまりに辛い現実。100年近くかかって育てた立派な材も、北洋材等との競争の結果だろうか、あまりの低価格。~
 
 &ref(.jpg);                                                              &ref(.jpg);~
 &ref(トド凍裂.JPG);            &ref(水喰いX線.JPG);         &ref(水喰い.JPG);~
 左図.凍裂を起こしたトドマツ(今川一志原図)  中図.枝水食いの軟X線図(高橋邦秀原図)  右図.水喰い材(今川一志原図)
 
 左図:~
 右図
  もう1つ驚きであるが、エゾマツの一部造林地になっていた。補植はヨーロッパトウヒであると思いこんでいただけに、「発見」したエゾマツは貴重である。おそらく山引き苗を用いて育てたのであろう。トドマツの寿命はおよそ120年程度と思われ(石塚1985)、肥大成長も小さくなっていたが、300年以上の寿命を持つというエゾマツでは旺盛な肥大成長が継続されていた。また、エネルギー問題に関連して、笹・佐藤教員らの森林バイオマス収穫技術の研究も進展中である(下部 写真中)。
  一方で、北海道各地で見られるらしいが、トドマツ人工林にはハリギリが更新している。この樹木を大きく育てたい、と願うのは皆の夢であろう。1999年の[[卒業論文>研究紹介/卒業論文]]研究として4回生であった道広さんによって解析が試みられた。大きく発展させることができるだろうか。樹木医学的研究を目指すSY君に天塩研究林の期待がかかっている!?。恐らく通水機能が鍵ではないか?渡邊陽子博士らの生理解剖学の技術が不可欠であろう。
 
 &ref(タンタのエゾ.JPG);         &ref(集材.JPG);  &ref(SY君.JPG);~
 
 左図:タンタの百年生エゾマツ   中図:森林バイオマス研究(収穫から考える) 右図:調査中のSY君~
 
 ***参考文献 [#b1ec6cce]
 -石塚森吉 (1985)樹種別の寿命と有利な伐期は?坂上幸雄編「天然林施業Q&A」、北方林業会、札幌、107-108.~
 -石田茂雄(1963) [[トドマツ樹幹の凍裂の発生機構,とくにその水喰材との関係について>http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/20824]]. 北海道大學農學部 演習林研究報告 22: 273-373. ~
 -道広 絢「異なる光環境におけるハリギリ幼樹の葉枝形成の違い」北大農学部造林学教室・卒業論文.~
 -今川一志(1997)樹木の凍裂−発生状況とその原因−、わかりやすい林業研究解説シリーズ106.林業科学技術振興所.88pp
 -石塚森吉 (1985)樹種別の寿命と有利な伐期は?坂上幸雄編「天然林施業Q&A」、北方林業会、札幌、107-108.
 -石田茂雄(1963) [[トドマツ樹幹の凍裂の発生機構,とくにその水喰材との関係について>http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/20824]]. 北海道大學農學部 演習林研究報告 22: 273-373. 
 -石田茂雄(1986)トドマツの凍裂.北方林業会.190pp
 -道広 絢「異なる光環境におけるハリギリ幼樹の葉枝形成の違い」北大農学部造林学教室・卒業論文.
 -佐野雄三(1996)[[樹木の凍裂発生要因の研究>http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/12171]]. 北海道大学農学部邦文紀要 19: 565-648. ~
 
 ***[[森林生理生態]]研究へ [#ea2ef8da]
 

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タンタのハリギリ のバックアップ差分(No.2)