前回までで、光環境の違いに対して植物はどのような形態的・生理的順応を行うか、またそれらの順応と考えられる形質が植物の個体サイズそのものによっても影響を受けるということを紹介してきた。今回は、光と個体サイズが、形態・生理特性両方に与える影響を検討した論文を紹介し、前回まで概念的に述べてきたことの実例を紹介したい。
この研究では林内のさまざまな光環境に生育するBetula alleghaniensisおよび耐陰性が高いAcer saccharumの稚樹を対象に、生理特性、相対成長量、形態を測定した。また、自然状態の稚樹に加えて被陰処理を行った稚樹も設定した。
その結果、光環境の違いは主に最大光合成速度や暗呼吸速度といった生理特性に、個体サイズの違いは葉・枝・根への投資率やLAR、細根率といった形態に影響していた。また、形態の変異は個体サイズが大きいほど小さく、これは個体サイズが大きくなると、形態を変化させることが困難になるから(変化させる部分の絶対量が多くなる)ではないかと考えられた。
この研究のような、光環境を定量的に把握し、個体サイズの影響を考慮し、考えられる植物側の順応を包括的に調べる研究を蓄積することで、光環境に対する植物の順応機構をより理解することができるだろう。
当日はpower pointによる発表を予定しています。忙しくてまだファイルはできていませんごめんなさいm(__)m
キーワード: 耐陰性、個体サイズ、形態、生理特性