・森林管理学特論@富良野
演習林についての講義です。天然林施業の一つである林分施業法の考え方について主に話されていました。それ以外にも演習林で行われている直営生産など様々な事を聞くことが出来ました。
演習林内で育ったマカバの突き板で造られた、セミナーハウスの講義室の内壁です。普段過ごしている時には、なかなかお目にかかることの出来ない代物のようです。マカバは一部の特殊材を除くと北海道でもっとも高価格の材です。マカバはウダイカンバとも呼ばれていますが、心材の赤いものをマカバ、白いものをメジロと区別されています。心材が赤いマカバの方が高価格で取引されています。太く高級なマカバはこの部屋に使われているように突き板としての利用が多いそうです。
演習林の遠望です。右側の丘のような山が大麓山(標高1459m)です。この画像での森林の始まる地点は標高約300mですので、1000mほどの標高差があります。その間の垂直分布は針葉樹で説明すると下からトドマツ、エゾマツ、ハイマツとなります。
施業制限地(1972年頃から伐採されていない)の様子です。伐採がされていないので倒木の多い箇所もあります。この倒木に苔が付くと樹木の更新適地になります。そのような更新方法を倒木更新と言います。伐採がされていない天然林での特徴的な更新方法です。
倒木更新の様子です。ここでは倒木の一部が残っており存在が確認できますが、倒木が見当たらなくても立木が一直線に並んで立っていれば倒木更新があったのではないかと考えることが出来ます。

エゾマツは暗色雪腐れ病菌に感染するため、菌の少ない倒木上で更新します(腐食層が少ない場合地表からも更新する)。そのため、倒木のほとんどない施業地では更新できません。

伐採によるエゾマツ(特にクロエゾマツ)の減少が現在問題になっています。このような問題の一つの解決策として期待されるのが下の写真です。
林道に敷く土や石などを採取した土取り跡地に天然更新したエゾマツとダケカンバです。B層まで剥き出しにすることにより、暗色雪腐れ病菌が少なくなり、エゾマツの天然更新が可能になりました。ダケカンバも同じ時期に天然更新したと思われますが、成長がエゾマツよりも早いため、二段林になっています。どちらも樹齢は20〜30年ではないかとの事でした。
エゾマツを根ごと引き抜くと左図のようになっています。赤丸で示した箇所に菌根菌が付いています。菌根菌と共生することにより、エゾマツは生きています。
直営生産の現場の様子です。写真はグラップルソーという機械です。伐倒木を掴むようにして持ち上げ、材の等級別により分けています。また、この機械で玉切り(伐倒木をそれぞれ材として売る長さに切る)を行うことも出来ます。
伐採現場から集材場へ伐倒木を運ぶこの機械は、グラップルスキッダと言います。後ろにアームがあり、これで伐倒木を掴んで引きずり運んできます。
集めてきた伐倒木を並べ、玉切る長さを決めていきます。そのときの市況でどのような長さの材が人気なのかを考えながら、採材していきます。それにより売上高が変わってくる重要な仕事です。
3つ上の写真にあるグラップルソーでも玉切りは出来ますが、ある一定の長さを正確に切るためには、やはり人の手によって切ります。チェーンソーを使い熟練の技術で玉切りしている様子です。

ちなみに使用しているチェーンソーの排気量は88cc。原付より排気量があります。

ちなみにMやさんが手入れしてみるとこんな感じです。

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5/30〜6/2まで東大の富良野演習林において森林管理学特論が行われました。この講義は今回で5回目となります。東大北海道演習林の皆さんのご協力によって成立し、毎年有意義な講義となっています。東大北海道演習林の皆さん本当にありがとうございました。
講義の内容は、初日に東大北海道演習林についての講義、2日目は演習林内(施業制限地、エゾマツ天然更新地、直営生産の現場、林分施業法において択伐林分に指定されている林分、山火再生林、苗畑)や隣接する国有林の見学、3日目は実際に林分施業法の選木実習を行いました。写真をとって参りましたのでご覧下さい。