ポリリン酸とは、リン酸 (オルトリン酸)が高エネルギーリン酸結合により直鎖状に連なった無機高分子 で、真核・原核生物界に広く存在する化合物である。原核生物では、ATPを基質として合成する酵素が知られており、既に多数の遺伝子も単離されているが、 真核生物における合成経路は長い間、不明であった。しかし、最近、酵母においてこの反応を触媒する酵素の遺伝子VTC (Hothorn et al., 2009, Science) が単離された。
ポリリン酸とは、リン酸 (オルトリン酸)が高エネルギーリン酸結合により直鎖状に連なった無機高分子 で、真核・原核生物界に広く存在する化合物である。原核生物では、ATPを基質として合成する酵素が知られており、既に多数の遺伝子も単離されているが、 真核生物における合成経路は長い間、不明であった。しかし、最近、酵母においてこの反応を触媒する酵素の遺伝子VTC (Hothorn et al., 2009, Science) が単離された。
アーバスキュラー菌根菌は土壌から吸収したリン酸をポリリン酸の形で液胞(?)に 濃縮して、菌糸中を運んでいる。これまでの研究から、アーバ スキュラー菌根菌は菌糸中に大量のポ リリン酸を蓄積する潜在能力を有すること--polyphosphate overplus--が明らかになっている (Hijikata et al., 2010)。
Uetake et al. 2002 New Phytol.
ポリリン酸の蓄積・輸送に関与するオルガ ネラについては、これまで管状液胞 (Uetake et al., 2002) や酸性小胞(Saito et al, 2004)などが候補として考えられていたが、最近、ポリリン酸を蓄積しているオルガネラの形態的特徴が明らかにされつつある(Kuga et al, 2008)。
本プロジェクトでは、このポリリン酸の合成や輸送に関与するオルガネラ(細胞小器官)を単離すると共に、ポリリン酸合成に関わる酵素活性の検出 (Tani et al., 2009) や遺伝子の単離を行い、菌根共生系におけるリン酸獲得・濃縮・輸送のメカニズムを明らかにする。
アー バスキュラー菌根菌はどうやって植物にリン酸を供給するの?